日本文学
☆☆☆ 久々の「宮内悠介を読もうシリーズ」です。調べてみたら前回の「カブールの園」のレビューからなんと9ヶ月経ってました。サボりすぎだな。 それはともかく、本人はライトなものも書こうとはしておられるんですが、全体にヘビーなものが多い。で、前回の…
⭐︎⭐︎⭐︎ 初期の恩田陸ファンにこよなく愛されてきた「理瀬シリーズ」の最新刊「薔薇の中の蛇」です。焼き粉の早速のレビューに書いてあるように待たせること 17年! 長すぎるわ!! ということで「三月は深き紅の淵を」(1997)、「麦の海に沈む果実」(200…
⭐︎⭐︎⭐︎ リンボウこと林望先生の文庫版源氏物語第二巻です。本巻には 「末摘花(すえつむはな)」「紅葉賀(もみじのが)」「花宴(はなのえん)」「葵(あおい)」「賢木(さかき)」「花散里(はなちるさと)」 の六帖が収められています。光源氏は18歳から…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 宮内悠介を読むシリーズ、今回は2017年の「カブールの園」です。二編の中編小説が収められており、芥川賞候補になり、第30回三島由紀夫賞を受賞しています。 で、いきなりですが、心の琴線をガリガリこすられ、ひたすら圧倒され、KOされてしまし…
⭐︎⭐︎⭐︎ 久しぶりの宮内悠介を読もうシリーズ、今回は2016年の作品で山本周五郎賞候補になった作品「アメリカ最後の実験」です。若い頃にアメリカ在住歴があり、ゲーマーでもあり、元プログラマーでもあり、DTMミュージシャンでもあるという彼のキャリアを存…
⭐︎⭐︎ 林真理子訳源氏物語、最終三冊目はカッコつけて英語で「STORY OF UJI」、要するに宇治十帖の段です。この部分は原典、現代訳含めて全く未読で林版が初めてでした。 いけぴんさんが「薫にイライラしてください」とレビューのキャプションにお書きになり…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 林真理子版源氏物語「六条御息所 源氏がたり」下巻に入ります。本巻では第十四帖「澪標」から第四十一帖「幻」まで、すなわち光源氏が京に戻ってから一生を終えるまでが、六条御息所の語りによって描かれます。 下巻冒頭で六帖御息所は死んでしま…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 林真理子流源氏物語。まずは前回紹介した「誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ」と下巻のあとがきを参照して執筆に至る経過を説明します。 源氏物語の千年紀に向けて、『源氏物語』を訳してほしい との無茶ぶりな依頼を小学館から受け…
⭐︎⭐︎⭐︎ いきなりですが、「源氏物語」です。 古文授業のマスト・フレーズ、理系には蕁麻疹のいづれの御時にか女御更衣あまた候ひ給ひけるなかにです。 わたくし、受験勉強の参考書やガイド本等々でその内容は大体承知しているのですが、実は一回も完読したこ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 純文学の旗手阿部和重と超人気ミステリ作家伊坂幸太郎が組んだ「完全合作」小説「キャプテンサンダーボルト」下巻です。「徹夜本」という煽りも伊達じゃない(仙台だけに、なんちゃって)、ノンストップアクションで最後まで突っ走ります。 まずは簡…
⭐︎⭐︎⭐︎ 伊坂幸太郎の小説で唯一未読だった「キャプテン・サンダーボルト」(文庫版上下巻)です。2014年に発表された作品なんですが、伊坂単独ではなく、純文学の阿部和重との合作だったため、なんとなく一番後回しにしていました。 いやあ、早く読んどきゃ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 万城目学の小説で唯一未読だったのが2017年発表の「パーマネント神喜劇」でした。この春に文庫化されたのでようやく読んでみました。 派手な柄シャツを小太りの体に纏い、下ぶくれの顔に笑みを浮かべた中年男。でもこれは人間に配慮した仮の姿。だっ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 防犯探偵榎本シリーズ二作目です。一作目の「硝子のハンマー」が好評を博し、シリーズ化の要望に応えて書かれた4篇の短編をまとめたのがこの「狐火の家」で、さらに4篇を編んだのがカドフェスで読んだ「鍵のかかった部屋」ということになります。ち…
⭐︎⭐︎⭐︎ 先日TVドラマ「鍵のかかった部屋」の原作(同名短編集)の(やや辛口の)レビューをしたのですが、文庫本であと二作あるとのことで、乗りかかった舟、とにかく読んでみることにしました。 まずは「硝子のハンマー」です。テレビでは本作が最終話で二…
⭐︎⭐︎ 宮部みゆきの現代小説はもう大概読み尽くしているのですが、ブックオフに行くとたまに「あ、これは読んだことがない!」という作品に出くわします。この「地下街の雨」も先日見つけた未読品で、調べてみると1994年集英社から出版された短編集で1998年に…
⭐︎⭐︎⭐︎ 森見登美彦待望の新刊「四畳半タイムマシンブルース」です。まずは長い前置きをば。 先日レビューしたエッセイ「太陽と乙女」にも書かれていましたが、森見登美彦氏はは2011年8月に連載を抱え過ぎて頭がパンクして連載をすべて中断、長期休養を余儀な…
⭐︎⭐︎⭐︎ 朝井リョウを読むシリーズ、再び小説に戻って2019年の「どうしても生きてる」です。エッセイでは自分のことを猫毛で馬面、胴長短足猫背で痔持ちのスットコドッカーと卑下している朝井リョウですが、そんなスットコドッコイが書いたとは思えないほどず…
⭐︎⭐︎⭐︎ 村上春樹の新刊です。あれ〜、ハルキストはやめたんじゃないのかよと言う声がセミンゴ方面から聞こえる気がしますが、懲りもせず読んじゃいます、テヘペロ。 さて春樹氏は「超長編」「短めの長編」を交互に出版するのをメインのリズムとして、その間…
⭐︎⭐︎⭐︎ 伊坂幸太郎の代表作の一つ「ゴールデンスランバー(A MEMOERY)」です。今回「新潮文庫の100冊2020」のリストに入っており、本サイトでは未レビューだったので久々に読み直してみました。初出は2007年、ライトでウィットに富んだ独特の作風のミステリ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 宮内悠介 を読もうシリーズ、今回は2015年の第三作にして初の長編書き下ろしとなる「エクソダス症候群」です。火星の精神病院を舞台に中世から現代までの精神医療史を緻密に考証しつつ描かれる壮大な物語でした。長編をものする実力を遺憾なく示した…
⭐︎⭐︎ 新型コロナ禍でこの春は人気ドラマ再放送だらけでしたが、中でも楽しみに見ていたのが「鍵のかかった部屋」で、無表情・ボソボソ一本調子で喋る大野智君とコミカルな演技の佐藤浩市、戸田恵梨香、この三人の間合いが絶妙でした。 今回コミュニティ企画…
⭐︎⭐︎⭐︎ 朝井リョウを読むシリーズ、ゆとり世代のトンデモ大学生活を綴った「時をかけるゆとり」に続く第二弾「風と共にゆとりぬ」です。堂々と巻頭に「マーガレット・ミッチェルに捧ぐ」と書いてあります。よう言うた、というか、どの口が言う、というか。。…
⭐︎⭐︎⭐︎ 朝井リョウを読むシリーズ、小説を一通り読み終えたのでエッセイに入ります。畏れ多くも原田知世様の「時をかける少女」からお題をいただいた「時をかけるゆとり」です。風の噂でバカバカしいエッセイだとは聞いていたのですが、まあ予想をはるかに上…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ モリミーこと森見登美彦の「太陽と乙女」です。(いろんな意味で)衝撃のデビュー作「太陽の塔」と(乾坤一擲待望の女性ファンを一気に増やした)代表作「夜は短し歩けよ乙女」を合体させたような題名からして、またまた京大腐れ大学生と妄想不思議…
⭐︎⭐︎⭐︎ 「宮内悠介を読もう」シリーズの五冊目はデビュー作「盤上の夜」です。本来なら真っ先に読まねばならないところなのですが、本作のテーマであるボードゲーム類が全く不得意であることと、紹介文やレビューで「盤上の夜」の主役の設定が嫌だったことで…
⭐︎⭐︎⭐︎ 人気アニメ制作チーム超平和バスターズの、「あの日見た花の名前を僕達はまだ知らない(通称「あの花」)」「心が叫びたがってるんだ(通称「ここさけ」)」に続いて昨秋公開された「空の青さを知る人よ」のノベライズ作品で、書いておられるのは超平…
⭐︎⭐︎⭐︎ デビュー作「桐島、部活やめるってよ」と螺旋プロジェクトの「死にがいを求めて生きているの」の間を埋める「朝井リョウを読むシリーズ」もこれで最後の作品となります。2013年の「世界地図の下書き」です。前年の「何者」での直木賞受賞に続き、この…
⭐︎⭐︎⭐︎ 朝井リョウを読むシリーズもあと二作、というところまできて#stayhomeで中断していました。6月に入り、ようやくブックオフにでかけてささっと二冊買ってきました。で、今回は「チア男子!!」です。 「桐島」に続く第二作、朝井リョウはもちろんまだ…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 宮内悠介を読むシリーズ、今回は「ヨハネスブルグの天使たち」を選んでみました。2013年に発表された第二作となりますが、いやあ凄かったです、私がこれまで読んだ宮内作品中最高の出来でした。 伊藤計畫の「虐殺器官」「ハーモニー」を彷彿とさ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 先日紹介した村上龍の新作「MISSING」では、龍が初めて母の歴史を語っていましたが、この最新エッセイでは村上春樹がついに不仲だった父について重い口を開いています。 あとがきで彼自身も語っていますが身内のことを書くのはけっこう気が重いことで…