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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2018-04-01から1ヶ月間の記事一覧

スウィングしなけりゃ意味がない / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 「馬鹿の帝国」対「スイングユーゲント」。ハンブルグの上流階級の息子たちのナチへの反抗と悲劇をスイングジャズに乗せてコミカルにシニカルに描き尽くしているが、文章が平易すぎて佐藤亜紀とは思えない。 佐藤亜紀を読むシリーズ、年代順に読んで…

イリーナ・メジューエワ・プレイズ・ベーゼンドルファー

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ロシアの名ピアニストで現在日本で活躍中のイリーナ・メジューエワさんが大好きで、若林工房というレーベルが録音・音質にこだわって作っているアルバムをぼちぼち集めています。今回はいつもはNYスタインウェイを使っておられるメジューエワさん…

梟の城 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 司馬遼太郎氏の長編デビュー作にしてこの完成度。直木賞受賞も当然だろう。その後のエッセイ的スタイルとは全く違う普通の忍者小説だが、そういうものを書いても一流だったことがよくわかる。 「司馬遼太郎の初長編作品にしてこの完成度。非情を旨…

日蝕、一月物語 / 平野啓一郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 本当に佐藤亜紀のパクリなのか、という興味本位で読んでみたが、なかなかどうして素晴らしい文章だった。アイテムは似ており、衒学的な文章も彼女を想像させないことはないが、基本的に異質の文体とストーリーであり、少なくとも「盗作」ではない。…

鏡の影 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀第三作。舞台は再び欧州、時代はバルタザールよりはるかに遡り16世紀。異端の学僧ヨハネスの見る中世キリスト教社会の諸相。後に平野啓一郎パクリ疑惑、新潮社引き上げ事件をも引き起こした難解な書。 鏡の影 佐藤亜紀 新潮社 円 Amazonで…

Technodelic / Yellow Magic Orchestra

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ Maybe the finest album of YMO, which means, the masterpiece of Techno-pops.

最後の物たちの国で / ポール・オースター

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 全てが失われていく場所で「最後の物」とは何だったのか?「ニューヨーク三部作」と「ムーン・パレス」に挟まれた、ポール・オースターの隠れ傑作。 最後の物たちの国で ポール・オースター 白水社 998円 Amazonで購入書評

空海 / 高村薫

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 孤高の天才空海の構築した余人の理解を容易に許さない哲学体系を語るとともに、日本という国が弘法大師信仰という霊験あらたかな民間宗教に変質させていった過程を丁寧に追った、高村薫の思索の旅。 空海 高村薫 新潮社 1944円 Amazonで購入書評

戦争の法 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀第二作。日本に舞台を移したポリティカル・フィクションだが、率直に言ってラスト近くの不思議で切ないシーンまでは退屈。文章は高村薫、アイデアと情報は村上龍、の「亜(紀)流」みたいな。 戦争の法 佐藤亜紀 Tamanoir 円 Amazonで購入書評

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四 / 夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ いよいよ最終部。夢枕獏先生自画自賛の大団円。全ての伏線を回収し、最後は長恨歌全文掲載の大サービス。先生見事なり。それにしてもフィクションからでも、唐で金剛・胎蔵の両密法を灌頂され、真言宗の祖となった空海の凄さは伝わってくる。 沙…

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三 / 夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ いよいよ佳境 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三 夢枕獏 角川書店(角川グループパブリッシング) 660円 Amazonで購入書評

隣のずこずこ / 柿村将彦

⭐︎⭐︎ 復活した日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作。萩尾望都、森見登美彦、恩田陸大絶賛、全員一致で選ばれたという傑作らしいが。。。この三人が一致?かえって不安なような。。。という予感は見事に当たった。 隣のずこずこ 柿村将彦 新潮社 円 Amazon…

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二 / 夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 唐に渡った空海の活躍を描く夢枕獏のシリーズ、第二巻。「長恨歌」の白居易(白楽天)も登場、楊貴妃の悲劇も明らかとなる。 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二 夢枕獏 角川書店(角川グループパブリッシング) 660円 Amazonで購入書評

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 /夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 密教の真髄を求め唐に渡った空海の活躍を描く歴史ファンタジー、第一作。映画「KU-KAI 美しき王妃の謎」の原作。映画はイマイチだったが、さすが夢枕獏、原作は面白い。 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 夢枕獏 角川書店(角川グループパブリッシ…

The Strange Case of Dr.Jekyll and Mr.Hyde / Robert Louis Stevenson

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「宝島」のスティーブンソンが書いた、もう一つの古典的名作。「ジキルとハイド」の二重人格で有名だが、原作は自分の勝手な想像とあまりにも違っていた。二重人格を描いた恐怖小説と言うよりも、人間の内面にある善悪両面を抉り出した傑作ミステ…

バルタザールの遍歴 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀の処女小説にして第三回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。文章の完成度と欧州現代史の知識を縦横無尽に使いこなす技術は圧倒的。ただ、その完成度に比して着想をうまく活かしきれていない。 バルタザールの遍歴 佐藤亜紀 文藝春秋 660円 …