Count No Count

続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2018-02-01から1ヶ月間の記事一覧

The Crossing / Cormac McCarthy

⭐️⭐️⭐️⭐️ コーマック・マッカーシーの代表作「国境三部作」の第二部。前作と別の少年を主人公に、更に陰鬱な受難の旅が描かれる。文章も内容も極端に難解で濃密、安易な読解を作者が拒否しているかのようだ。 The Crossing: Book 2 of The Border Trilogy Co…

おめでとう / 川上弘美

⭐️⭐️⭐️ ほっこり明るく深々しみる、よるべない恋の十二景、という文庫版裏表紙のアオリがうますぎて、それ以上書くことがない。川上弘美の初期のゆるさを引きずっている短編集 おめでとう 川上弘美 新潮社 420円 Amazonで購入書評

半神 / 萩尾望都

⭐️⭐️⭐️⭐️ 萩尾望都の短編集。わずか16Pの中に、シャム双生児の姉妹の痛切な哀しみを描いた表題作は、萩尾望都の短編の中でも傑出した傑作。他はSF&ファンタジーが殆ど、「ハーバル・ビューティ」「酔夢」「偽王」あたりがいい。 半神 萩尾望都 小学館 円 …

水声 / 川上弘美

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 川上弘美の比較的最近の作品。姉と弟の5五年間を第一軸とし、主人公の心を支配し続けるママを第二軸とした禁断の物語。 水声 川上弘美 文藝春秋 円 Amazonで購入書評

イー・イー・イー / タオ・リン

⭐️⭐️ ポストモダンと言えなくもないが、ネット弁慶の戯言に過ぎないという感じもする。台湾系アメリカ人タオ・リンがひがみ根性丸出しで描くゼロ年代アメリカ。 イー・イー・イー タオ・リン 河出書房新社 1512円 Amazonで購入書評

椰子・椰子 / 川上弘美

⭐️ 川上弘美とイラストレーター谷口マオのコラボ。うそ日記、うそ小話、シュールとまでも行かないレベルの低い話ばかり。関西弁をバカにしてるところが気に入らない。残念。 椰子・椰子 川上弘美 新潮社 500円 Amazonで購入書評

思い出を切りぬくとき / 萩尾望都

⭐️⭐️⭐️ モー様こと萩尾望都先生のユーモラスなエッセイ集。望都様の名前の秘密が明かされる、というほどてもないが、面白い。締めるところは締めるのはさすが。 思い出を切りぬくとき 萩尾望都 河出書房新社 599円 Amazonで購入書評

サロメ / オスカー・ワイルド

⭐️⭐️⭐️⭐️ 以前原田マハのサロメを読んで、押さえておかねばと思っていた。原点となるエピソードは最初にあるが、それを狂恋の戯曲に変えたワイルドはやはり天才、そして邦訳はやはりこの人、福田恆存。 サロメ ワイルド 岩波書店 378円 Amazonで購入書評

ちぐはぐな部品 / 星新一

⭐️⭐️⭐️⭐️ ショートショートの名手星新一の作品30編を収録。「殺し屋ですのよ」等からまだ短編集に収録していなかった作品を集めているので雑多な内容となっているのでこの題名にしたとあとがきで書いておられる。しかしクオリティは驚くほど一定していてさす…

溺レる / 川上弘美

⭐️⭐️ 「神様」 の次に来る1999年の短編集。川上弘美流世界観の面妖度はますます嵩じ、一方であいかわらずよく食べよく飲む。文体は確立されてきているが、内容の無さに比べて文学賞取りすぎの感は否めない。 溺レる 川上弘美 文藝春秋 450円 Amazonで購入書評

トリスタン・イズー物語 / ベディエ編、佐藤輝夫訳

⭐️⭐️⭐️⭐️ 聞きなれない題名かもしれないが楽聖ワーグナーの歌劇「トリスタンとイゾルデ」の原典にもなった中世有数の悲恋物語である。このベディエ編はベルールの三千行詩を骨子とした恋愛に重きを置いた編集となっている。さすが岩波文庫版、佐藤輝夫氏の訳…

蛇を踏む / 川上弘美

⭐️⭐️⭐️ 川上弘美の芥川賞受賞作。 「蛇を踏む」 面妖な話だが文章は楽しめる。 「消える」 和風シュールレアリスム。 「惜夜記」 川上流「夢十夜」。 蛇を踏む 川上弘美 文藝春秋 410円 Amazonで購入書評