2020-08-01から1ヶ月間の記事一覧
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 林真理子版源氏物語「六条御息所 源氏がたり」下巻に入ります。本巻では第十四帖「澪標」から第四十一帖「幻」まで、すなわち光源氏が京に戻ってから一生を終えるまでが、六条御息所の語りによって描かれます。 下巻冒頭で六帖御息所は死んでしま…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 林真理子流源氏物語。まずは前回紹介した「誰も教えてくれなかった『源氏物語』本当の面白さ」と下巻のあとがきを参照して執筆に至る経過を説明します。 源氏物語の千年紀に向けて、『源氏物語』を訳してほしい との無茶ぶりな依頼を小学館から受け…
⭐︎⭐︎⭐︎ いきなりですが、「源氏物語」です。 古文授業のマスト・フレーズ、理系には蕁麻疹のいづれの御時にか女御更衣あまた候ひ給ひけるなかにです。 わたくし、受験勉強の参考書やガイド本等々でその内容は大体承知しているのですが、実は一回も完読したこ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 純文学の旗手阿部和重と超人気ミステリ作家伊坂幸太郎が組んだ「完全合作」小説「キャプテンサンダーボルト」下巻です。「徹夜本」という煽りも伊達じゃない(仙台だけに、なんちゃって)、ノンストップアクションで最後まで突っ走ります。 まずは簡…
⭐︎⭐︎⭐︎ 伊坂幸太郎の小説で唯一未読だった「キャプテン・サンダーボルト」(文庫版上下巻)です。2014年に発表された作品なんですが、伊坂単独ではなく、純文学の阿部和重との合作だったため、なんとなく一番後回しにしていました。 いやあ、早く読んどきゃ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 久しぶりの江國香織です。彼女は一見何気ないようでいて実は天才的な文章を書く、と個人的に思っています。それはもう中毒になる程で、私の場合プロットどうこうより彼女の文章が読めるだけでいい。しかしそこへ持ってきて静かな狂気を描くのが上手い…
⭐︎⭐︎⭐︎ 万城目学の小説で唯一未読だったのが2017年発表の「パーマネント神喜劇」でした。この春に文庫化されたのでようやく読んでみました。 派手な柄シャツを小太りの体に纏い、下ぶくれの顔に笑みを浮かべた中年男。でもこれは人間に配慮した仮の姿。だっ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 防犯探偵榎本シリーズ二作目です。一作目の「硝子のハンマー」が好評を博し、シリーズ化の要望に応えて書かれた4篇の短編をまとめたのがこの「狐火の家」で、さらに4篇を編んだのがカドフェスで読んだ「鍵のかかった部屋」ということになります。ち…
⭐︎⭐︎⭐︎ 先日TVドラマ「鍵のかかった部屋」の原作(同名短編集)の(やや辛口の)レビューをしたのですが、文庫本であと二作あるとのことで、乗りかかった舟、とにかく読んでみることにしました。 まずは「硝子のハンマー」です。テレビでは本作が最終話で二…
⭐︎⭐︎ 宮部みゆきの現代小説はもう大概読み尽くしているのですが、ブックオフに行くとたまに「あ、これは読んだことがない!」という作品に出くわします。この「地下街の雨」も先日見つけた未読品で、調べてみると1994年集英社から出版された短編集で1998年に…
⭐︎⭐︎⭐︎ 森見登美彦待望の新刊「四畳半タイムマシンブルース」です。まずは長い前置きをば。 先日レビューしたエッセイ「太陽と乙女」にも書かれていましたが、森見登美彦氏はは2011年8月に連載を抱え過ぎて頭がパンクして連載をすべて中断、長期休養を余儀な…
⭐︎⭐︎⭐︎ 朝井リョウを読むシリーズ、再び小説に戻って2019年の「どうしても生きてる」です。エッセイでは自分のことを猫毛で馬面、胴長短足猫背で痔持ちのスットコドッカーと卑下している朝井リョウですが、そんなスットコドッコイが書いたとは思えないほどず…