評論
⭐︎⭐︎⭐︎ いきなりですが、「源氏物語」です。 古文授業のマスト・フレーズ、理系には蕁麻疹のいづれの御時にか女御更衣あまた候ひ給ひけるなかにです。 わたくし、受験勉強の参考書やガイド本等々でその内容は大体承知しているのですが、実は一回も完読したこ…
⭐︎⭐︎⭐︎ 先日読了したマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」ですが、読み終わってホッとするかと思いきや、逆にズルズルあとを引いています。この化け物のような、この本の著者の一人に言わせれば“いささか奇怪で、見事な具合に失敗している”小説は一…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」を完読できれば読みたいと思っていた本です。光文社古典新釈文庫版の翻訳をされている高遠弘美氏が第三巻「失われた時を求めて〈3〉第二篇・花咲く乙女たちのかげに I」の解説でこの書に言及し、手も…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 私が尊敬してやまない孤高の作家高村薫女史の新刊である。今回は小説ではなく評論集、週刊サンデー毎日誌の「サンデー時評」に2019年1月から2020年3月まで掲載された時評の単行本化である。 歯に衣着せぬ高村薫女史のこと、帯からして煽ること煽る…
⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「本が好き!」の企画に参加したのでこちらにも残しておく。 新潮文庫版「堕落論」には17編の評論随筆が収録されており、解説は柄谷行人氏が書いておられる。講演録と思われる作品もあるが、ほとんどは安吾らしい「無頼派」な文章で彼一流の美学が…
⭐️⭐️ 映画待ちでふらっと本屋に立ち寄って目に入ってしまった。話のネタに丁度よさそう、とパラパラめくっていたが、妙に胡散臭い。このムック、文責ライターが記載されていない。誰が書いたか分からないものには手をつけるべきではないかとも思ったが、カラ…
⭐️⭐️⭐️⭐️ 先日レビューしたアンソニー・ドーアの短編集「Memory Wall」、その中でもとりわけ秀逸なドーア流ジュブナイル小説が「River Nemunas」。カンサスの少女Allieが両親を事故で亡くし、リトアニアの祖父の元で暮らす物語であるが、リトアニアに旅立つ…
⭐︎⭐︎⭐︎ この頃どういうわけか、「本が好き!」に漱石の「こころ」のレビューが多いのでついつい読んでしまう。マーブルさんもそのお一人だが、そのつながりでエドガー・アラン・ポーの短編集のレビューの中で 「こころ」を読むと「ウィリアム・ウィルソン」…
⭐︎⭐︎⭐︎ 硬軟双方持ち合わせる文学評論家加藤典洋が、村上春樹のデビューから2015年執筆時点までの内的変化と小説の変容について分析している。リアルタイムで知っているものからすると突っ込みどころは結構あるが、自分なりの春樹観を持って読む限り良書では…