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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2018-01-01から1年間の記事一覧

神去なあなあ日常 / 三浦しをん

⭐️⭐️⭐️ これもブックオフで見かけて思わず手が伸びた。三浦しをんの「神去なあなあ日常」である。映画を観たかったが見逃していたので読んでみることにした。 『高校卒業と同時に三重県の山村に放り込まれた平野勇気19歳。林業の現場に生きる人々の1年間のド…

ストレンジ・デイズ / 村上龍

⭐️ ブックオフで買った二冊目の村上龍。これは長編だが未読だった。 以前「MURAKAMI」のレビュー(たしかブクレコ)で書いたことがあるが、SM等の倒錯した性を露骨に扱い始めた龍に興醒めして一時離れていたことがあった。大長編でいうと、「愛と幻想のファシ…

マイブック 2018年の記録

「ブクレコ」や「本が好き!」でやっていた年末恒例行事、その年の読書総括である。今年はこちらですることにした。 2018/12/20現在、公開レビューが111本、下書き中が9本ある。下書きからはおそらく選ぶことはないと思うので、この時点で思いつくままに選…

空港にて / 村上龍

⭐️⭐️⭐️ 先日ブックオフで村上龍を二冊買った。その一冊が「空港にて」。龍はよく読んでいるが、殆どが長編大作ばかりで、短編集はあまり読んでいない。これはその一冊。 一読して、ああ、村上龍らしいな、と思った。彼の文体には特にこれといった特徴や個性…

バナナ剝きには最適の日々 / 円城塔

⭐︎⭐︎ 円城塔の作品の中では比較的わかりやすい短編集だというので読んでみた。 。。。。。どこが?。。。。。 まあ、「Self-Reference ENGINE」は短編集といっても相互連関があるのでなかなか途中ではやめにくい。でも、この作品集はそれぞれが独立した作品…

ぐるりのこと / 梨木香歩

⭐︎⭐︎ 「海うそ」がよかったので、続けて梨木香歩を読んでみたが、う~ん、こんなはずじゃなかった、というのが二点あった。 まずは自分の勘違い。以前「ぐるりのこと」といううつ病を扱った映画を見ていたので、それの原作だと思っていた。これが全くの間違…

ふうらい姉妹 第四巻 / 長崎ライチ

⭐️⭐️ 美女だけど残念な姉妹のゆる〜いギャグが持ち味のふうらい姉妹も最終巻。長崎ライチのお二人、お疲れさまでした。というわけで第四十一回ー第五十二回、最終回、特別編「いろどり広場(イラストギャラリー)」、おまけ漫画「電車にて」、「いろどり広場…

ふうらい姉妹 第三巻 / 長崎ライチ

⭐️⭐️⭐️ くせになる、ゆる~いギャグ漫画「ふうらい姉妹」も第三巻。第二十七回~四十回に加え、今回もおまけとして「宝物」「回想録」「いろどり広場」を収録。そして今回は狭間に「登場人物図鑑」が入ります。 (8)山本れい子・しおり (9)とうとつくん…

海うそ / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 久しぶりの梨木香歩。主だったところはすでに「本が好き!」でレビューしていたのだが、読み残しも多く、まずは一番気になっていた「海うそ」から読んでみることにした。2014年の作品で、驚いたことにWikipediaで確認したところ長編は今のところこ…

フーガはユーガ / 伊坂幸太郎

⭐️⭐️ 伊坂幸太郎の約一年ぶりの新作「フーガはユーガ」、またまた奇妙なタイトルですがこの題名に関しては、冒頭ですぐネタあかしされます。常盤風雅・優雅の双子が主人公の物語なのです。頭空っぽのDV父と無関心を絵にかいたような無責任母がよくこんなまと…

ふうらい姉妹 第二巻 / 長崎ライチ

⭐︎⭐︎⭐︎ あかつき姐さんに勧められて読んだ長崎らいちの「ふうらい姉妹」にはまってしまったので第二巻。第十四回ー二十六回、「回想録」「いろどり広場」収録。各章の合間に諸種外国語版台詞の「世界のふうらい姉妹」が挟まれる。 あいかわらずまったりした…

熱帯 / 森見登美彦

⭐︎⭐︎⭐︎ 森見登美彦の最新刊が出た。題名は京都とは何の関係もなさそうな「熱帯」。熱帯密林に予約注文しておいたのだが、届いた本を見てびっくり。 分厚い! なんと523Pもある。こんなもん持ち歩けるか。 と思ったが、さすがモリミン、ページターナーである…

天子蒙塵 第四巻 / 浅田次郎

⭐︎⭐︎⭐︎ 浅田次郎先生の近代中国史シリーズ第五部「天子蒙塵」いよいよ完結、という事で、第三巻に次いで読了。感無量と言いたいところだが、率直なところ尻すぼみ感しか残らなかった。この巻だけをとってみれば、すべてのエピソードが中途半端なまま。恩田陸…

ふうらい姉妹 / 長崎ライチ

⭐️⭐️⭐️ あかつき姐さんのレビューを見て速攻で買った、ホノボノ系ギャグ漫画。 長崎ライチという漫画家は全く存じ上げなかったが、姉妹による漫画ユニットで姉が原作担当、妹が作画担当だそうである。ちなみにこの漫画が作者初の単行本となったそうで、Wikip…

なんて素敵にジャパネスク2 / 氷室冴子

⭐︎⭐︎⭐︎ 氷室冴子の「なんて素敵にジャパネスク」復刻版2。最初は前巻のかろみを踏襲して、あいもかわらず瑠璃姫は 「冗談はよしのすけ。」 なんてセリフを連発して笑わせてくれるが、中盤から後半にかけて徐々に物語はヘビーになっていく。 ネタバレになる…

なんて素敵にジャパネスク / 氷室冴子

⭐️⭐️⭐️ 先日読んだ「ザ・チェンジ」の系譜をつぐ氷室冴子の代表作の一つ、私でも題名くらいは知っている「なんて素敵にジャパネスク」。冊数が多いのでためらっていたが、あかつき姐さんによると第二巻までで十分ということで、復刻版がそこまで出ているので…

屍者の帝国 / 伊藤計劃 X 円城塔

⭐️⭐️ 伊藤計劃の未完の遺作「屍者の帝国」を、円城塔が遺族の了解を得て、3年という年月を費やして完成させた壮大なスケールのSF作品。 とは言ってみたものの、パラレルワールドSFと呼べばいいのか、スチームパンクと呼べばいいのか、19世紀オールスター・…

内田光子 ピアノ・リサイタル @ 兵庫芸術文化センター

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ Mitsuko Uchida Piano Recital 2018.11.2 19:00-21:00 兵庫県立芸術文化センター KOBELCO大ホール 主催:兵庫県、兵庫県立芸術文化センター 内田 光子 Mitsuko Uchida : Piano PROGRAM: シューベルト ピアノソナタFranz Shubert Piano Sonatas 第…

Self-Reference ENGINE / 円城塔

⭐️⭐️ P, but I don't believe that P. で始まる円城塔の短編集。二部20編で構成され、プロローグとエピローグがつく。 第一部: Nearside う~ん。。。。。 下記のキャッチコピーはよくできている、としか言いようがない。 円城流「夢十夜」だと言われれば、…

The Indifference Engine / 伊藤計劃

⭐️⭐️⭐️ 盟友円城塔の「Self-Reference ENGINE」とよく似た題名の伊藤計劃の短編小説集。実際円城塔と合作した「解説」という実験的な(あまり面白くはないが)作品もある。 元々一つのまとまった短編集として書く(描く)意図があったわけではなく、彼の遺し…

ハーモニー / 伊藤計劃

⭐️⭐️⭐️⭐️ 伊藤計劃の第三作である「ハーモニー」。処女作の「虐殺器官」の後の世界を描きながらも、打って変わって穏やかな題名。巻末対談によると、「虐殺器官」という題名だけで母に本を捨てられてしまった、という少年のブログ記事があって申し訳なく思い…

第37回神戸市マスターズ水泳競技大会

初めて100個メ泳いだ。気持ちよかった。タイムはまだまだだけど。 アップがわりに出た25フリは悲惨。なんとかしなくちゃ。

虐殺器官 / 伊藤計劃

⭐️⭐️⭐️⭐️ 読んでおかねばと思いつつ、未読という作家が何人かいるのだが、伊藤計劃もその一人。この度やっとこの処女作を手に取った。 私は日本のSF小説は海外、特にアメリカのSFに比して停滞気味だと長く思ってきた。実際SFマガジン700の海外篇と国内篇を比…

夢印 / 浦沢直樹

⭐️⭐️⭐️ 浦沢直樹の最新作「夢印(むじるし)」。珍しく一巻完結の作品、長崎尚志の名前がないのも久しぶりじゃないかな?フジオプロの協力とあるのは、今回の主要登場人物として、赤塚不二夫の名キャラクター、「おそ松くん」のイヤミが登場するから。 その…

大貫妙子コンサート in メセナホール

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 大貫妙子コンサート in メセナホール 2018.10.14 16:30-18:30 須坂市立文化会館メセナホール 大貫妙子 (vo) ゲストミュージシャン 原田知世(vo) 小松亮太(bandoeon) バンドメンバー: フェビアン・レザ・パネ(p) 小倉博一(g) 鈴木正人(b) 林 立夫(…

とっぴんぱらりの風太郎 / 万城目学

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ マキメーこと万城目学の長編時代小説。いやあ畏れ入った。傑作だ。 最初はマキメー流の、ヒョウタンの物の怪(因心居士)に憑りつかれた忍び崩れの少年風太郎(プウタロウ)を主人公としたコミカルな忍者小説かと思わせておいて、最後は大坂夏の…

天子蒙塵 第三巻 / 浅田次郎

⭐️⭐️ 浅田次郎先生のライフワークとも言える、中国史シリーズ「蒼穹の昴」「中原の虹」に続く「天子蒙塵」も早や第三巻。読まねばと思いつつ、他に積読が多くて後回しになっていたが、この壮大なシリーズの完結巻になるという噂の第四巻の予約が始まっている…

月の輝く夜に/ザ・チェンジ / 氷室冴子

⭐️⭐️⭐️ 今年は氷室冴子没後10年とのこと。私はコバルト文庫には縁がなく一冊も読んだことがなかったが、ジブリの「海がきこえる」もこの人の作品だと「本が好き!」で全作レビュー中のあかつき姐さんに教えてもらった。ついでに、初めて読むのなら何がいいか…

偶然の祝福 / 小川洋子

⭐️⭐️⭐️ いやあ、これは驚いた。例えばポール・オースターなんか自分の作品に過去の自作の主要人物を登場させることを得意としているが、記憶に残るかぎり小川洋子ではそんな作品はなかった。 ところがこの短編集には「バックストローク」「ホテル・アイリス…

ヤモリ、カエル、シジミチョウ / 江國香織

⭐️⭐️⭐️⭐️ 久しぶりの江國香織、2014年の作品で谷崎潤一郎賞受賞作。それも、文庫本で460P以上ある長編。内容は江國香織そのものだが、二人の子供、周囲の大勢の大人たち、と多数の視点で細かく小節分けされて物語が紡がれていくため、ものすごく集中力を要す…