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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2017-01-01から1年間の記事一覧

鏡餅

パン焼き器で鏡餅ができた。買わなくて済むわ。

神を見た犬 / プッツァーティ、関口英子訳

⭐️⭐️⭐️⭐️ プッツアーティの短編集で、岩波文庫版の脇功氏訳と、この光文社関口英子さん訳の翻訳比べをしてみた。詳細は下記書表参照してください。脇氏未収録の中にもたくさん面白いものがあったが、海洋版「タタール人の砂漠」というべき、「戦艦<<死>>」は…

タタール人の砂漠 / プッツァーティ、脇功訳

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ プッツァーテイの出世作。無用な国境の無用な砦で無為な軍隊生活を過ごさざるを得なかったある将校の姿を通じて人生そのものを描き切った傑作。伝説の騎馬民族タタール人の名を冠した砂漠の風景描写、更には表紙カバー写真も見事だ。 タタール人…

七人の使者 神を見た犬 他十三篇 / プッツァ―ティ 脇功訳

⭐️⭐️⭐️⭐️ イタリア文学の名翻訳者脇功氏が亡くなられたそうである。享年82歳とお聞きする、謹んで哀悼の意を捧げたい。合掌。 そんな氏の簡潔明瞭で時代を経ても古びない、そしてイタリア語を彷彿とさせる柔らかさも持ち合わせた名訳を楽しめるのが、イタリ…

ぬるい眠り / 江國香織

⭐️⭐️⭐️ 江國香織の短編集で、1989年から2003年までの作品があるので質量ともばらつきはあるが、表題作がやはりよい。その他には「きらきらひかる」の続編「ケイトウの赤、やなぎの緑」、「清水夫妻」、「とろとろ」あたりが読みどころ。 ぬるい眠り 江國香織…

Polish Pianism

⭐️⭐️⭐️⭐️ Polish Pianism: maybe the first compilation album of polish jazz piano pieces which my FB friend Mr. Shirao (aka Horashio) compiled. Beatiful pieces & jacket photo! 私のブログ時代からの友人、Facebookフレンドのオラシオさん選曲解説…

スターウォーズ 最後のジェダイ

⭐️⭐️⭐️⭐️ 過去最高の映像と相変わらず単純なイデオロギーと。最後はやっぱり自己犠牲とチャンバラか、みたいな。ソロの息子が存在感を増していたのは立派なもの、キャリー・フィッシャー追悼のエンドロールが泣かせる。 http://eiga.com/movie/84134/

インプレッサG4 2.0i-L

新車のスバル・インプレッサが来て2週間、再度山ドライブウェイを飛ばしてビーナスブリッジまで往復。四駆と高剛性のシャシーの威力は凄い。エンジンはまだ上まで回り切らない感じ。

My Twentieth Century Evening and Other Small Breakthroughs / Kazuo Ishiguro

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2017年度ノーベル文学賞を受賞したKazuo Ishiguro(カズオ・イシグロ)のノーベル賞記念講演録が早くも出版された。自らの出自を振り返るとともに、デビュー作「遠い山なみの光」、転機となった幾つかの作品(「日の名残り」「わたしを離さないで…

ことり / 小川洋子

⭐️⭐️⭐️⭐️ 小川洋子らしい無名性の世界の中で描かれる小鳥の小父さんの一生。 ことり 小川洋子 朝日新聞出版 626円 Amazonで購入書評

象と耳鳴り / 恩田陸

⭐️⭐️⭐️ 恩田陸のデビュー作「六番目の小夜子」の関根春(しゅん、男)の父、元名判事の関根多佳男を主人公とした短編ミステリ連作集。過去の名作ミステリへのオマージュともなっているが、私にそう言うものへの親和性がないのか、イマイチしっくりこなかった…

超・殺人事件 - 推理作家の苦悩 / 東野圭吾

⭐️⭐️⭐️ 東野圭吾のユーモア短編集。これに出てくる高機能読書マシン・ショヒョックスに『甘口』モードと『酷評』モードで書評を書いてもらおう。下記のリンク先書評サイト「本が好き」に書いてます。。 超・殺人事件―推理作家の苦悩 東野圭吾 新潮社 460円 A…

流しのしたの骨 / 江國香織

⭐️⭐️⭐️ 夜の散歩を趣味とする19歳の女性が淡々と綴る、仲の良い宮坂家六人のちょっと風変わりな日常。江國香織が「家」「家族」をテーマとして描いたいとおしい物語。題名は本当は怖い童話「カチカチ山」から。 流しのしたの骨 江國香織 新潮社 540円 Amazon…

キッドナップ・ツアー / 角田光代

⭐️⭐️⭐️ 角田光代流ジュブナイル、ユウカイされた娘とユウカイした父のひと夏の物語。 キッドナップ・ツアー 角田光代 新潮社 420円 Amazonで購入書評

ブランコのむこうで / 星新一

⭐️⭐️⭐️ 星新一さんらしい、やさしい目線と端正な文章で描かれるジュブナイル・ファンタジー ブランコのむこうで 星新一 新潮社 420円 Amazonで購入書評

きらきらひかる / 江國香織

⭐️⭐️⭐️ シャンパンを陽の光に透かして見るようなような透明感の中に、切なさの細かい泡が立ち上っていく、江國香織らしいラブ・ストーリー。 きらきらひかる 江國香織 新潮社 420円 Amazonで購入書評

こうばしい日々 / 江國香織

⭐️⭐️⭐️⭐️ 全く関係のない二つの中編小説が一冊の文庫本に収められ、見事に呼応しあっている。十代前半の男女を主人公に据えた語り口が上手く、初期の作品ながらもう江國香織の天性の才能が花開いている。

泣き虫弱虫諸葛孔明 第5部 / 酒見賢一

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 嗚呼、星落秋風五丈原。泣き虫弱虫変質者、そして最高にダンディイな諸葛亮孔明の講談、これにて机を叩くを、さて、終えなん!酒見賢一渾身の最終巻、五丈原での孔明の病死までを面白おかしくと真面目さを両立させて描き切った、その力量に脱帽。…

回転ドアは、順番に / 穂村弘、東直子

⭐️⭐️⭐️⭐️ NHKドラマ「この声をきみに」で麻生久美子と竹野内豊が朗読して話題の恋愛問答歌集。不思議なスリルと高揚感、そしてエロティシズム。う~んこれはいったい何?と、何度も読み返してしまう。 穂波(竹野内豊): 観覧車 昇るよ 君はストローをくわえ…

いつか記憶からこぼれおちるとしても / 江國香織

⭐️⭐️⭐️ 都内の私立女子高生たちの日常に潜むちょっとした心の闇を描いた短編集。「指」「飴玉」のインパクトが強いが、「緑の猫」で親友が精神を病んで二度入院した後、コータロー(高村光太郎と智恵子から)というあだ名をつけられるのが残酷で胸を打つ。

13ヵ月と13週と13日と満月の夜 / アレックス・シアラー、金原瑞人訳

⭐️⭐️⭐️⭐️ 児童文学作家アレックス・シアラーの原作を、児童文学翻訳に新風を吹き込んだ金原瑞人氏が訳した児童文学の傑作。少女と魔女の対決ファンタジーで「老いる」ということの辛さを子供に伝えようとした物語。金原瑞人氏のスピード感あふれる訳も素敵、…

ブレードランナー2049

⭐️⭐️⭐️ SF映画の名作ブレードランナーの続編がついに公開された。ドゥニ・ヴィルヌーブ監督、ライアン・ゴズリング、ハリソン・フォード、それぞれに良かったし、映像も見事だったが、ストーリーの単純さの割に長過ぎた気がする。また、映画.comなどで予習が…

彼女がその名を知らない鳥たち

⭐️⭐️⭐️⭐️ 久し振りに映画を見て泣いた。沼田まほかるの原作も知っているのに、泣くような映画じゃないのに、最後には涙が知らないうちに出ていた。阿部サダヲの演技がほぼ全てだ。改めて凄い俳優だと思った。蒼井優も体当たりの演技でよく頑張った、と思う。…

米澤穂信と古典部 / 米澤穂信

⭐️⭐️⭐️ 米澤穂信の新刊。といっても「氷菓」実写化にあわせた角川書店のメディアミックス戦略の一環。小説はおまけで、古典部シリーズの舞台裏公開的ムック本。古典部メンバーの本棚はそれぞれの個性を反映させて面白いし、古典部ファンには垂涎、読み応えあ…

サロメ / 原田マハ

⭐️⭐️ 原田マハのアート小説シリーズ。オスカー・ワイルドの「サロメ」の挿絵画家オーブリー・ビアズリーと、その姉メイベルが今回の主人公。今回も現代パートと過去パートがあるが、現代パートはほとんど機能していない。文章も相変わらずの修辞の仰々しさが…

泣き虫弱虫諸葛孔明 第3部 / 酒見賢一

⭐️⭐️⭐️ 酒見賢一流三国志講談第三部。いよいよ赤壁の戦いへと突入。今回の表主役は呉のスーパースター美周郎こと周瑜公瑾。呉の期待を一身に背負って赤壁の戦いに勝利し、なお戦闘意欲は衰えず劉備孔明を亡き者にしようとするも病に斃れる。裏主役は敗残の劉…

泣き虫弱虫諸葛孔明 第2部 / 酒見賢一

⭐️⭐️⭐️ 酒見賢一流三国志の第二巻。「あることないことないこと」の三国志の中でもとりわけ怪しい「長坂坡の戦い」がメインの第二巻。これを語るのはいかな酒見と言えど難しい。そこで三国志の「裏設定」である「説三方」を冒頭で紹介した上で、嘘八百と分か…

泣き虫弱虫諸葛孔明 第1部 / 酒見賢一

⭐️⭐️⭐️⭐️ 酒見賢一の「陋巷に在り」に次ぐ長編。前作の雰囲気と異なり、変人酒見の面を強く押し出した、はっちゃけたシニカルで笑える三国志となっている。まずは三顧の礼、マーベラス・クレバー・ワン、スリーピング・ドラゴン、ミステリアス・サノバビッチ…

ピュタゴラスの旅 / 酒見賢一

⭐️⭐️ 中島敦賞受賞作の初期短編集。作者自身は「バランスを取り過ぎている」と思っておられるが、「そうか~?」という雑多な短編の寄せ集めで出来不出来はあり。話としては「虐待者たち」が一番面白く、歴史ものとしては表題作より「エピクテトス」の方が充…

語り手の事情 / 酒見賢一

⭐️⭐️ これも酒見賢一の未読の落穂ひろい。英国ヴィクトリア朝のある屋敷を舞台とした妄想と倒錯の性の饗宴。作者が父親にかんかんに怒られたという異色作だが、あとがきがさらに凄い。酒見賢一に性的タブーはない!