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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2019-08-01から1ヶ月間の記事一覧

おおあたり / 畠中恵

⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズもついに第15弾、文庫本で出ている限りではこれで最終、一つの区切りとなる。今回は「おおあたり」がテーマだが、統一感には乏しく、残念ながら大当たりではない。とはいえ、もう職人技の域、安定したクオリティではあるので、しゃばけ…

なりたい / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ第14弾。今回は「〜になりたい」と言う題名が五つ並んでいる。ことの始まりは、畠中さんは断言はしていないが珍しくも大妖の手代二人仁吉と佐助の失策である。 若だんなが恒例によって寝こむ少し前に、近所で似た年頃の若者が亡くな…

ずえずえ / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ、第13巻。今回は栄吉や若だんなの嫁取り騒動に絡めて、若だんなの将来についての展望が語られる。妖と人間との時間感覚の差異はこれまで何度も触れられきて、特に「ちんぷんかん」収録の「はるがいくよ」などはシリーズ中屈指の傑作…

たぶんねこ / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ第12弾。外伝から再び本伝に戻って短編五編が並ぶが、今回は「序」がついている。奇跡的に二月ひと月病にかからなかった若だんな、喜んだ手代二人は若だんなに五つのことを約束させる。 一 半年間仕事をしない 二 半年間恋はお預け …

えどさがし / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズの番外編。 「500年の判じ絵」 主人公は佐助(犬神)。ひたすら旅を続ける佐助、今は江戸へ向かう途中で三島宿にいる。街道脇の茶屋に貼られていた判じ絵がどうも妖の佐助宛てに書かれたようで、居合わせた化け狐の朝太と謎解きを始…

ひなこまち / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ、第11巻。今回も五編からなるが、全体を通してのテーマは「若だんなの人助け」、そして裏テーマは「ゆんでめて」の後始末。 第一話「ろくでなしの船箪笥」冒頭で、若だんながある日、一つの木札と出会うところから話は始まる。それ…

堕落論 / 坂口安吾

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「本が好き!」の企画に参加したのでこちらにも残しておく。 新潮文庫版「堕落論」には17編の評論随筆が収録されており、解説は柄谷行人氏が書いておられる。講演録と思われる作品もあるが、ほとんどは安吾らしい「無頼派」な文章で彼一流の美学が…

やなりいなり / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ しゃばけシリーズも第十巻、例によって五つの作品が並ぶが、今回の特徴は「料理」。しゃばけシリーズのお楽しみである江戸時代の料理、それを今回は各作品に活かし、レシピを冒頭に掲げている。さらに解説では東京大塚の江戸前料理店経営の料理家福田…

小鳥たち / 山尾悠子、中山多理

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 山尾悠子待望の新刊である。今回は人形作家の中川多理さんとのコラボレーションで、作品数は掌編三編と少ないが、中川さんの「小鳥たち」や「老大公妃」の人形の写真が多数挿入され、「怖いけれど美しい」という共通する個性が共鳴し合い、とても素…

クジラアタマの王様 / 伊坂幸太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 伊坂幸太郎の新作書き下ろし長編。彼の新作といえば「シーソー・モンスター」をレビューしたばかりだが、あちらは螺旋プロジェクトの一環で、こちらは単独作品。伊坂さんこの頃ハイペース。そういえば「シーソーモンスター」の「アイムマイマイ」と…

しゃばけ読本 / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ 畠中恵さんのしゃばけシリーズ、ここでちょっと一休み。ちょうど「ゆんでめて」まで来たところで出た解説本「しゃばけ読本」をご紹介。「しゃばけ」シリーズの解説や畠中さんの創作の裏側を覗けるのもさることながら、いつもシリーズの表紙を飾るかわ…