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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2018-07-01から1ヶ月間の記事一覧

金の仔牛 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズ、いよいよ残り少なくなってきた。今回は2012 年の作品「金の仔牛」、元祖バブル、18世紀フランスでジョン・ローの施行した「ル・システム」という金融実験に踊り踊らされる人々を面白おかしく描いた群像劇である。 佐藤流ユ…

空海「三教指帰」-ビギナーズ日本の思想

⭐︎⭐︎⭐︎ 先日読んだ「空海の風景」で司馬遼太郎先生が数々の空海の著作や口伝を詳説されていた。そのうちの一つでも読んでみたいと思っていたが、「三教指帰(さんごうしいき)」が角川ソフィア文庫の「ビギナーズ日本の思想」から出ていた。著者は大正大学講…

醜聞の作法 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズ、今回は2010年発表の「醜聞の作法」。革命前のフランスはパリで起こる騒動を、いかにも翻訳フランス文学的な文章と書簡体小説という形式で描き出す。 実際ディドロの小説のパスティーシュ的な部分もあり、これを当時のフラン…

空海の風景 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 最近司馬遼太郎先生の本を読んでいるのは、この作品を再読したいと思っていたから。「本が好き!」をやめる前から考えていたので、ずいぶん遠回りしてしまったことになるが、ようやく再読した。 できれば発刊当時の感動を味わうべく単行本で読み…

ミノタウロス / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズ、前回の「1809」から、レビュー済の傑作「天使」「雲雀」を経て、いよいよ代表作「ミノタウロス」、2007年の作品に辿り着いた。この時点で彼女を新人とするのもおかしな話だが、第29回吉川英治文学新人賞を受賞している。そ…

1809 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀の長編第五作「1809 ナポレオン暗殺」(1997)。前作「モンティニーの狼男爵 」に続き欧州が舞台。でもフランスの話じゃなくて、ナポレオンのオーストリア攻めの頃のウィーンが主舞台。題名の通り、1809年の有名な「シェーンブルンの和約」…

李陵 山月記 / 中島敦

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 先日読んだ万城目学の「悟浄出立」、その表題作の執筆動機となった中島敦の「悟浄出世」を探していたところ、この小学館文庫に収録されていた。 迷いに迷って、偉い先生(と呼ばれている人)の元を次から次へと訪れ教えを乞うても、自分というも…