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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

2018-01-01から1ヶ月間の記事一覧

失われた世界 / コナン・ドイル

⭐️⭐️⭐️⭐️ コナン・ドイルは推理小説だけでなく、SF文学の祖でもあった。ホームズに負けず劣らず濃いキャラの連中が繰り広げるジュラパ的冒険譚は今でも色褪せない面白さだ。良くも悪くも七つの海を支配していた大英帝国ならではの小説だが、構成に与えた影響…

神様 / 川上弘美

⭐️⭐️ 川上弘美のデビュー作「神様」を筆頭にした九編の短編集。くまにさそわれて散歩に出る。のはいいけれど、気の抜けたサイダーのようなちょっと物足りない寓話集。 神様 川上弘美 中央公論新社 480円 Amazonで購入書評

貴婦人Aの蘇生 / 小川洋子

⭐️⭐️⭐️ 小川洋子流「閉じた世界」が今回はロマノフ王朝を通じて現実界とつながっている。その扉の鍵は「蘇生」という言葉。 貴婦人Aの蘇生 小川洋子 朝日新聞社 525円 Amazonで購入書評

センセイの鞄

⭐️⭐️⭐️⭐️ 川上弘美初挑戦、まずは一番有名なこの作品から。ゆる~い感じが良い作品。江國香織とお互いを意識しているそうだが、この作品はどこか梨木香歩に近い感じがする。ゆるい感じで章を重ねてきて、最後にこの文章は見事。 「そんな夜には、センセイの…

がらくた

⭐️⭐️⭐️ 江國香織独特の恋愛小説。最初の恋愛小説「きらきらひかる」から16年の歳月が流れ、江國香織の文章は成熟し過ぎたきらいがある。主人公の言葉を借りれば、ある種の完璧=A kind of perfect = UNIQUE な小説。 息を吐くように恋情やセックスを文章にす…

All The Pretty Horses / Cormac McCarthy

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ Cormac McCarthy(コーマック・マッカーシー)の代表作「Border Trilogy:国境三部作」の第一部、邦訳名「すべての美しい馬」。主人公たちの波乱万丈の行動と受難を描く三章と、それを「Fate」と「Responsibility」の問題として洞察する最終章の…

オールド・テロリスト / 村上龍

⭐️⭐️⭐️⭐️ 村上龍の2015年の長編小説の待望の文庫化。80万人の中学生が不登校化した「希望の国のエクソダス」の続編的作品で、今回は70-90台の老人が日本を一旦リセットするためにテロリストとなる世界を描いている。東日本大震災の原発事故も暗い影を落とし…

夕方らせん / 銀色夏生

⭐️⭐️⭐️ 詩人銀色夏生さんの珍しい短編小説集。やっぱり詩人らしい文章が心地良い。 夕方らせん 銀色夏生 新潮社 円 Amazonで購入書評

ターゲット / 清水義範

⭐️⭐️ パスティーシュの名手清水義範のホラー集。怖いけどあまり面白くない。それにしても清水は猿蟹合戦が好きだな。 ターゲット 清水義範 新潮社 500円 Amazonで購入書評