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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

My Twentieth Century Evening and Other Small Breakthroughs / Kazuo Ishiguro

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

  2017年度ノーベル文学賞を受賞したKazuo Ishiguro(カズオ・イシグロ)のノーベル賞記念講演録が早くも出版された。自らの出自を振り返るとともに、デビュー作「遠い山なみの光」、転機となった幾つかの作品(「日の名残り」「わたしを離さないで」等)にまつわるエピソードを語っている。それらの作品が生まれた背景にはほんの些細なきっかけがあり、その些細なきっかけを見逃さないことが大事なのだ、と彼は語る。

 

 そして最後に混沌とした世界情勢について憂慮を示した上で、もう60代も半ばに達した自分にまだ出来ることがあるのかと自問した上でまだ自分も進んでいかなけれればならないけれども、若い世代の台頭に期待していると今の心境を語る。そして文学の現在に於ける役割となすべきことについてアピールを行い講演は締めくくられる。

 

 ファンのみならず、文学を愛するものすべてが読むべき感動的な講演録である。


My Twentieth Century Evening and Other Small Breakthroughs (English Edition)

  • KazuoIshiguro
  • Faber & Faber

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書評