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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

ポーの一族 ユニコーン編

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   ついに出ました、世界にその名を轟かせるJapanese Shojo Manga「The Poe Clan」こと、萩尾望都先生の「ポーの一族」の最新巻「ユニコーン」。

 

  いよいよ40年前の「ポーの一族」の最終章「エディス」と、前作「春の夢」の世界が融合し、新たなポーの一族の世界が構築されていく。

 

  復習しておくと

 

「エディス」:1976年 ロンドン エヴァンズ家の火事の中、エディスを助けたエドガーとアランが 帰ろう、帰ろう、遠い過去へ もう明日へは行かない と業火の中に姿を消す。

 

「春の夢」:1944年 ウェールズ 白髪のユダヤ人少女ビアンカが、一族のファルカの力で一族の仲間入りをする。

 

  そして本作により、「春の夢」の世界が本編と融合する。

 

Vol.1: 2016年 ミュンヘン   火事の40年後、一族もスマホを使う時代となったミュンヘンエドガーが姿を現す。喜んで抱きつこうとしたファルカを「わたしを触るな」とエドガーは拒絶。

  アーサー・トマス・クエントン卿の力で復活できたエドガーだったが、痩せて小さくなるとともに、触れられた途端に相手の気を吸い取る状態になっていたのだ。

  エドガーは黒化した炭となってしまったアランを復活させてほしいとファルカに頼むが、それはできないこととファルカは拒絶。そこへ現れたのがファルカが怖れ忌み嫌うダイモンという男。この男、バリーとも呼ばれ、真の名前は不明。

  エドガーと同じくキングポーの血をひく男でありながらキングポーに追放された過去があり、一族からは「悪魔」「疫病神」扱いされている。

 

  しかしエドガーは アランを取り戻すためなら

 ぼくは悪魔とだって契約する

という言葉を残し、ダイモンとともに去っていく。

 

Vol.2: ホフマンの舟歌(バルカロール) 1958年 ヴェネツィア   ベネチアのサンタルチア協会のサルヴァトーレ主催のコンサートに招かれて、エドガー、アラン、ファルカ、ブランカがやってきて、ダン・オットマー(ルチア一族)と再会。そこに現れたのが、バリー。ここではミューズと名乗っている。

  かつてここでキングポーが「世界で1番美しい舟歌」と評した「ホフマンの舟歌」(バルカロール)を、ミューズとかつてサルヴァトーレが恋したエステルの娘ジュリエッタが歌う中、エドガーはルチオ一族の始祖、シスター・ベルナドットと初めて出会う。エドガーがポーの一族とルチア一族の歴史を聴いている間、バルカローレに感激したアランはミューズを絶賛、ミューズはその礼に彼の真の名前を教える。しかしエドガーが帰ってきた時、アランはそのことを全く覚えていなかった。

 

Vol.3: バリー・ツイストが逃げた 1976年ロンドン

  エドガーとアランがアーサー・トマス・クエントン卿にバラを送るために花屋を訪れた際、エドガーは「春の夢」でポーの村のバラを枯らして村を追放されたクロエを目撃し追いかけます。クロエに以前の凶暴性はなくなっており、エドガーに、1000年以上昔バリー・ツイストがバラを枯らして逃げたときのことを語って聞かせます。

  クロエが老ハンナの導きによりポーの一族に加わった経緯、憧れていた美貌の持ち主フォンティーのこと、その弟がバリーであること、そしてキングポーが自分たちの王国を作ろうとするフォンティーンとその取り巻きをどう始末したかが語られ、フォンティーンにまつわるポーの村の薔薇の秘密が明かされる。

 

  そしてこの一か月後のエヴァンズ家の火事に話は回帰。エドガーとアランが業火の中に姿を消した後、エディスを助けたのはなんとこのバリーだったのだ。外から呆然と眺めるファルカ、シルバー、ビアンカビアンカはファルカの問いに

(エドガーは、アランは)わかららないけれど どこかにいる どこかにいる

と答える。

 

Vol.4: カタコンベ 1963年 ローマ

  アランに近づき、彼を自分の塔に誘うバリー。最後に絶体絶命の窮地に追い込まれたアランがついにバリーの真の名を思い出す。これは読んでのお楽しみ。

 

  今回も「ホフマンの舟歌」を始め、オペラやクラシック音楽が満載で、美しい絵と音楽の中、ポーの一族の世界が展開されていく。

 

そして次回に期待したいのは当然ながら2016年のその後、アランは再生するのか?   待て、次号!(フラワーコミックスの回し者かっ!)

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