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カミオカンデのある飛騨を舞台にした短編「星に降る雪」とギリシアのクレタを舞台にした中編「修道院」の二編が収められている。どちらも亡くした友人に縛られている男と女の物語。池澤らしい語り口は健在だが饒舌に過ぎる部分もある。
ちなみにニュートリノをとらえるための施設、カミオカンデの中で光るチェレンコフ光を見ることはハイゼンベルグの矛盾(闇を見ようとしても、見えたら闇でなくなる)で不可能だが、カミオカンデ自体は見ることができる。私は以前アンドレアス・グルスキーの写真展でみたカミオカンデに魅せられた。そのポスターは今でも職場に飾ってある。