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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

クララとお日さま / カズオ・イシグロ、土屋政雄訳

☆☆☆

 

  先日レビューしたKlara and the Sunの邦訳です。訳者はいつもの通り土屋政雄氏。

 

 

 

  第一印象:本が分厚い!、こんな長い話だったのか!! (終了頁はp433)

 

Kindleで読んでいたので分かりませんでした。ストーリーは単純、場面転換もそれほど多くない。にしてこの長さ、日本語にすると文章が長くなるとはいえ、驚きました。

 

  第二印象:題名を童話的にしたのに文章は硬い

 

「the Sun」を「お日さま」にした時点で童話方向で柔らかく訳す方向性だったと思うのですが、技術翻訳出身の土屋氏、さすがにこの分野は苦手だったのではないでしょうか、文章の硬軟の使い分けが今回は今一つだったような気がします。

 

  第三印象:ところどころ単語がおかしい

 

この小説の主題AF(artificial friend)が「人工親友」。硬い!そんなネーミングで商品として売れます?手前味噌ですが原著レビューで書いた「お友達ロボット」の方が柔らかくてていいんじゃないかな。

 

原著で序盤一番戸惑った単語が「oblong」。長方形という意味では全然話が通じないので悩んでいましたが、しばらく読むうちに「タブレット端末」のことらしい、と分かってきます。この訳が「オブロン端末」、そんな端末聞いたことあります?

 

邦訳に興味があったのが「lift」、優秀な子供にするための遺伝子操作らしい(最後まで詳細は語られません)のですが、これが「向上処置」、うんまあまあこれは納得。

 

最後に逆にびっくりしたのが「シャーピ鉛筆」、なんじゃこれは!?

 

と、原文を確認したところ、「sharp pencil」、普通やん。。。もしシャープが商標登録の関係で使えないのなら、普通に鉛筆や色鉛筆でいいんじゃない?その辺は土屋氏の専門分野で何とでもなった気がするんですが。。。  

 

追記:これを「本が好き!」に掲載したところ、常連さんがこのサイトを教えてくれました。

 

news.yahoo.co.jp

 

 

 ということで、内容を語らないレビュー健在のYasuhiroでした。ちなみに

 

梗概を知りたい方はrodolfo1さんのレビュー

 

評論を読みたい方はぷるーとさんのレビュー

 

シンパシーを感じたい方はrokoさんのレビュー

 

ネタバレOKの方はクロニスタさんのレビュー

 

がお勧めです。