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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

ドミノ IN上海 / 恩田陸

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  こういう時節ですから、お気楽脳天気な作品を。。。

 

  こういう時節に中国が舞台の作品をレビューしてどうする、という声も聞こえますが。。。

 

  めげずにいきます!

 

  「蜜蜂と遠雷」で直木賞を獲ってしまい、すっかり真面目な作家だと思われてしまっております恩田陸さんですが、実は作品ごとに、のみならず、作品の前半後半でも出来不出来の差が激しく、

 

ロシアン・ルーレット

投げっぱなしジャーマン、風呂敷畳み忘れ

 

との評価も高い方です。

 

  まあ、冗談はともかく(冗談ではないという声が聞こえる)、彼女の持ち味は硬軟自由自在なところで、「ドミノ」のような思いっきりハメをはずしまくった抱腹絶倒のドタバタコメディでこそ彼女の本領が発揮できる、と勝手に推察しております。それほど「ドミノ」は面白かった。

  東京駅を舞台としたドタバタスラップスティック群像劇で本当によくできていて、陸さん自身が楽しんで書いてるな〜、と思わせる近年では出色の、ロシアンルーレット大当たり(え?)の作品でした。

 

  そしてついに、19年もの時を経て、 あのお騒がせメンバーが帰ってきた\(^^)/

 

  それも舞台を発展と狂騒のルツボ(新型コロナ以前時点)上海に移して!

 

・ 関東生命八重洲支社のOL3人組  

  支社のドン 北条和美  

  支社の裏番 市橋(旧姓加藤)えり子 (暴走族の部下健児と結婚して退社)  

  支社のヒットマン 柔道の達人 田上優子

 

・ 三人組にビビって会社を辞めゲームアプリ会社の上海支店長に出世した「レッサーパンダ」男 森川安雄

  +   安雄を取材する古臭い価値観の持ち主ジャーナリスト 宮越信一郎  

 

・ 超ド級バイクを操る元暴走族宅配寿司屋店長 市橋健児

 

・ 美人画廊店主 落合美江

 

・ カルト的人気を誇るホラー・ミステリー映画監督フィリップ・クレイブンご一行

 

・ 陰陽師の血を引く霊能者安部久美子(+役小角の末裔・小角正+名風水師・盧蒼星)

 

・ 監督が愛してやまないペットのイグアナ・ダリオくん

 

という、「ドミノ」の愉快な仲間たち(違)が上海に集結!

 

 そして

 

・ ダリオくんの胃袋にとてつもない価値のある玉の印章「蝙蝠」を隠した美術品誘拐団「GK」の面々

 

・ GKを追うFBI+香港警察の面々

 

・ 現代アートのフェア会場に屯する怪しい面々と借金まみれの現代アート作家 毛沢山

 

・ ダリオくんを○○してしまった青龍飯店ホテル料理長・紫禁城料理番の末裔 王湯元

 

・ 上海警察のイケメン署長 高清潔

 

そして

 

・ 動物園から逃走したジャイアントパンダ厳厳(ガンガン)

 

・ 厳厳を追う上海動物公園飼育係長 魏英徳 + ミニチュアダックスフント燦燦

 

という新たな面々とともに大騒動を繰り広げ、

 

ちょっとしたボタンのかけ違い・勘違い・失敗がどれか別のクラスターに揺さぶりをかけてしまい、 ドミノ倒しの如くとんでもない騒動が次から次へと引き起こされ、

 

終盤にはお約束で、「蝙蝠」と「イグアナ」(の霊)と「パンダ」に導かれるようにして全クラスター、25人と3匹がホテル青龍飯店に集結。もちろん

 

 「ホテルに猛獣が逃げ込んでチンピラが暴れて人質を取って美術品が盗まれてあちこち破壊されて猛獣も人質を取って犬が行方不明?ほんとにそれが全部、今青龍飯店で起こっているというのか?」(by 高清潔上海警察署長)

 

という大騒動に発展、ここから結末へは一気呵成、怒涛の勢いで突き進んでいきます。最後はもちろんオール・ハッピーエンド!

 

  で、映画によくあるエンドロール後のおまけ、あれを陸さんが忘れるわけがありません、それも読み逃しなく!

 

  というわけで、今世界を覆っているうっとしい雰囲気を吹っ飛ばすパワーがある快(怪?)作です。是非どうぞご一読を。あ、できれば「ドミノ」からお読みくださいね~。

 

上海のホテル「青龍飯店」で、25人(と3匹)の思惑が重なり合う――。 もつれ合う人々、見知らぬ者同士がすれ違うその一瞬、運命のドミノが次々と倒れてゆく。恩田陸の真骨頂、圧巻のエンタテインメント!(AMAZON解説)