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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

バベル九朔 / 万城目学

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  面白くてサクサクっと読める本がないかな、と探していてみつけたのがこの文庫本。モリミーのライバル、マキメーこと万城目学の「バベル九朔」です。2016年の作品で、昨年文庫化されました。

 

俺は5階建ての雑居ビル「バベル九朔」の管理人をしながら作家を目指している。巨大ネズミ出没、空き巣事件発生と騒がしい毎日のなか、ついに自信作の大長編を書き上げた。だが、タイトル決めで悩む俺を、謎の“カラス女”が付け回す。ビル内のテナントに逃げこんだ俺は、ある絵に触れた途端、見慣れた自分の部屋で目覚める―外には何故か遙か上へと続く階段と見知らぬテナント達が。「バベル九朔」に隠された壮大な秘密とは?(AMAZON解説)

 

  上記解説を読むと一種のパラレルワールドもののようで、ハラハラドキドキかつ抱腹絶倒のページターナーを期待して読んだのですが、

 

面白くなくはないがマキメーにしては登場人物がありきたり、笑えるところが無いではないが少なく、雰囲気が暗く、話の展開がステレオタイプな上に場面設定がやたらゴチャゴチャしていて読み進めにくい。

  

   ということでマキメーにしては面白くないなあというのが率直な感想です。ご自身もビル管理人をしながら小説家を目指しておられたそうなので思い入れタップリなんでしょうけど、ちょっと読む側の期待と乖離してるんじゃないかな。特殊キャラがカラス女だけじゃね〜。

 

  文庫版には「魔コ殺し」という、作中の小説家志望の主人公が書いた短編(掌編)小説がおまけについているのですが、これがまた読み始めて2、3分もしないうちにオチがわかってしまい、超絶つまらない。一次選考でさえ通ったことのないという設定に合わせた余興かもしれませんが、、、ないわ〜

 

  マキメーの小説ではあと一本、この翌年に書かれた「パーマネント神喜劇」が未読ですが、ちょっと心配。文庫化されてから読むかな。