桐島、部活やめるってよ / 朝井リョウ
⭐️⭐️⭐️
神木隆之介が演技派としての評価を確立し、東出昌大、橋本愛が世に出るきっかけとなった吉田大八監督の映画の原作。映画があまりにも素晴らしかったので逆に読むのをずっと躊躇っていた、朝井リョウのすばる新人賞受賞作。
田舎の県立高校。バレー部の頼れるキャプテン・桐島が、理由も告げずに突然部活をやめた。そこから、周囲の高校生たちの学校生活に小さな波紋が広がっていく。バレー部の補欠・風助、ブラスバンド部・亜矢、映画部・涼也、ソフト部・実果、野球部ユーレイ部員・宏樹。部活も校内での立場も全く違う5人それぞれに起こった変化とは…?瑞々しい筆致で描かれる、17歳のリアルな青春群像。第22回小説すばる新人賞受賞作。(AMAZON解説より)
いきなり一頁目で頭痛がした。
「夕陽の熱が自転車のサドルを赤く染めている。」
「肌寒くなってきた町並み」
なんじゃこりゃ?夕陽の「熱」で真っ赤になったサドルにお尻を乗せたら大やけどするぞ。。。
関西弁ぽいセリフもなんか変。どっか田舎の方の高校と書いてあるので、調べてみたら、朝井リョウは岐阜県出身だそうな。なるほど岐阜弁か。
と言うわけでそういう表現を無視して読んだらサクサク進んだ。山尾悠子1P読む時間で10P読める。そして神木くんがやってたクラス底辺層の映画部・前田涼也君の章に入って俄然親近感が湧いてきた
・蒼井優、上野樹里は天才
・「ジョゼと虎と魚たち」の池脇千鶴最高
・「サマータイムマシン・ブルース」に普通の女子大生役で真木よう子出すのすごい・「打ち上げ花火」も「花とアリス」もいいけど、やっぱり岩井俊二は「リリィ・シュシュのすべて」、あれみると二週間は引きずる
わかってるじゃないか、朝井リョウ、いい奴だな!どうせなら上野樹里と蒼井優が好演した「虹の女神」も書いて欲しかったぞ!
とか思いつつ、もう俄然乗ってきて後は一気に読み終えた。
各個人の名前で章立てされているこの小説の構成自体、映画好き的な感じがする。それをまた映画に還元したのが吉田大八、エイゼンシュテインのモンタージュ理論を応用してるんじゃないかと言う複雑なカット割りで鮮やかにスクールカースト群像を描き出していた。朝井リョウも嬉しかったんじゃないかな、だから文庫版解説を吉田監督が書いているのだろう。
もう内容については語り尽くされているが、爽やかな後味でいい感じ。ということで。