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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

フランス文学

楽しみと日々 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎ 「失われた時を求めて」以外で岩波文庫版で手に入るマルセル・プルーストの作品はもう一つあり、これも読んでみました。「楽しみと日々」というヘシオドスの「仕事と日々」を衒った題名の第一作品集で、短篇、散文、詩などから成っており、一つ一つが…

プルーストと過ごす夏 / アントワーヌ・コンパニョン他

⭐︎⭐︎⭐︎ 先日読了したマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」ですが、読み終わってホッとするかと思いきや、逆にズルズルあとを引いています。この化け物のような、この本の著者の一人に言わせれば“いささか奇怪で、見事な具合に失敗している”小説は一…

失われた時を求めて 14 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」最終第14巻です。前巻「見出された時 I」の後半と本巻「II」全体を占めるゲルマント大公邸の午後のパーティーでこの長大な物語はついに完結し、主人公の「私」は「失われた時」を見出し、自らの物語…

失われた時を求めて 13 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 読書好きなら誰もがその名前は知っている「A la recherche du temps perdu 失われた時を求めて」、フランスの作家マルセル・プルーストが1922年に亡くなるまでの約15年間をこの一作のためだけに費やし、その原稿枚数たるや3000枚以上、日本の400…

失われた時を求めて 12 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ プルーストの「失われた時を求めて」いよいよ十二巻、第六篇「消え去ったアルベルチーヌ」に入ります。「消え去った」とあるように、前巻最後に出奔したアルベルチーヌの死が本巻のメインテーマとなります。 一方で、元々の出版予告には「ソドムと…

失われた時を求めて 11 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎ 「失われた時を求めて」第五篇「囚われの女」も後半に入ります。まずは本篇の構成をおさらいしておきます。恋人アルベルチーヌの同性愛疑惑に駆られた「私」が、避暑地バルベックからパリに彼女を連れ帰り、自宅に半幽閉状態にした秋から春までが語ら…

失われた時を求めて 10 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎ 岩波文庫版の「失われた時を求めて」も第10巻、第5篇「囚われの女」に入ります。ここから先はプルーストの死後、遺稿を元にして出版が続けられたので、本文の解読や配列、改行の有無、イタリック体使用の有無等、刊本による異同がかなりあるそうです…

失われた時を求めて 9 / マルセル・プルースト、吉川一義

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ マルセル・プルーストの「失われた時を求めて」岩波文庫版も第9巻に入ります。サブタイトルは「ソドムとゴモラ II」で、後半第二、三、四章が収められています。 舞台は前巻に引き続き避暑先であるノルマンディー地方ですが、ホテルのあるバルベッ…

失われた時を求めて 8 / マルセル・プルースト、吉川一義

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 20世紀フランス文学の記念碑的大作「失われた時を求めて」もいよいよ後半、第四篇「ソドムとゴモラ」に入ります。ってか、これだけ読んできてまだ折り返し地点なのか、と思うと気が遠くなりそうなんですが。。。 題名の「ソドムとゴモラ」は皆さん…

失われた時を求めて 7 / マルセル・プルースト、吉川一義訳

⭐︎⭐︎⭐︎ 前回レビューに書きましたように、高遠弘美氏訳の光文社古典新釈文庫版「失われた時を求めて」は現在第六巻までしか刊行されていません。そこで、せめて第三篇「ゲルマントのほう」だけでも読みきっておこうと思い、進行を同じくする岩波文庫版で第七…

失われた時を求めて 6 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 光文社古典新釈文庫版「失われた時を求めて」は2019年末現在六冊が刊行されており、現時点での最終巻となる。本巻には第三篇「ゲルマントのほうへ(I)」の後半と「同(II)」の前半が収められている。 三冊(予定)に分かれたちょうどつなぎとなる巻…

失われた時を求めて 5 / マルセル・プルースト

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ フランス文学の傑作にして長大な「失われた時を求めて」も第三篇「ゲルマントのほうへ」に入る。第五巻はその「I」で、これまでもたびたび憧れの人として顔を見せていたゲルマント公爵夫人への恋心を主人公が募らせていく模様が語られる。 なにせマ…

失われた時を求めて フランスコミック版 スワン家の方へ / プルースト、ステファヌ・ウエ、中条省平

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「数多の挫折者」を出してきたことで有名なマルセル・プルーストの「失われた時を求めて」、それも3000Pの超大作ながら初めの数十Pで大抵の人は脱落するという大変な「20世紀文学の金字塔」。 前回レビューした「第一篇 スワン家の方へ I 第一部 コ…

失われた時を求めて 1 〜第一篇 「スワン家の方へ I 」 〜 (光文社古典新訳文庫) / プルースト、高遠弘美翻訳

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 読書好きなら誰もがその名前は知っている「A la recherche du temps perdu 失われた時を求めて」、フランスの作家マルセル・プルーストが1922年に亡くなるまでの約15年間をこの一作のためだけに費やし、原稿3000枚以上、日本の400字詰め原稿用紙10,…