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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

なんて素敵にジャパネスク2 / 氷室冴子

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  氷室冴子の「なんて素敵にジャパネスク」復刻版2。最初は前巻のかろみを踏襲して、あいもかわらず瑠璃姫は

「冗談はよしのすけ。」 

なんてセリフを連発して笑わせてくれるが、中盤から後半にかけて徐々に物語はヘビーになっていく。

 

  ネタバレになるが、前巻で「夭逝した」と書いた、幼いころ一緒に遊んだ「吉野君」はどうも生きているらしい。そして当時の東宮(今の帝で瑠璃姫に気がある別名鷹男)を亡き者にしようとした「入道の変」の関係者かもしれない。

  というあたりから暗雲が立ち込め、瑠璃姫の住いの三条邸は放火されるわ死人は出るわ、あげくに瑠璃姫は首を締められ絶体絶命のところまで追い詰められる。

 

  高彬との三角関係(といっても瑠璃姫は処女のママであるが)をどう始末するのか、そして美貌の反逆者吉野君をどう処理するのか、氷室冴子の手腕が問われる後半から終盤。物語は見事な展開を見せる。そして一面雪の吉野のラストシーンは、さぞやコバルトファン女子の感涙を絞っただろうと思われる。まことに見事なフィニッシュであった。

 

  これで終わるのが正解だろう。あかつき姐さんが二冊で十分と教えてくれた理由がよく分かった。あらためて氷室冴子のご冥福をお祈りする。

 

  吉野君、遊んでたもれ!

 

 

『瑠璃姫に好意を持つ鷹男(実は東宮)が即位して新帝に。瑠璃姫に求愛してくるが、許婚である高彬は、帝の意向を尊重すると言う。業を煮やした瑠璃姫は尼寺に駆け込むが、その夜実家の三条邸が炎上し…!? (AMAZON解説より)』