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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

きつねのはなし / 森見登美彦

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  森見登美彦の表の顔が「有頂天家族」のたぬき系でだとすれば、このきつね系は底知れぬ闇を内包した裏面、彼自身が「三男」と呼ぶユーモアゼロのホラー系。同じ京都が舞台だが、芳蓮堂という骨董屋、狐の面、龍の根付け、そして闇に蠢く胴の長いケモノなどのキーアイテムで緩くつながった四編は、読むものを底知れぬ闇に引き込んでいく。