Count No Count

続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

静かな大地 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎

    コスモポリタン池澤夏樹がついに自分の故郷「静かな大地 アイヌモシリ」北海道と自らのルーツを壮大に描き上げた傑作。和人に迫害され続けるアイヌ人たちとその側に立った淡路からの入植者宗形三郎志郎兄弟の苦闘の生涯と苛烈な運命を、志郎の娘由良がまとめ上げるその文章は後半になるに連れて息苦しいほど過酷なものになっていく。涙無くして読めないこの作品の内容の多くが事実であった、という作者のあとがきが胸を刺す。