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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

螺旋プロジェクト

天使も怪物も眠る夜 / 吉田篤弘

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 螺旋プロジェクトもいよいよ最終刊、八冊目となる未来編。アンカーを託された作家はクラフト・エヴィング商會の吉田篤弘。作品名は「天使も怪物も眠る夜」。螺旋プロジェクトのルールである「海族」と「山族」の争いにアンカーとして終止符を打つこ…

ウナノハテノガタ / 大森兄弟

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 螺旋プロジェクト#7。このシリーズもいよいよあと二冊、今回は大森兄弟の「ウナノハテノガタ」。 楽園ウナノハテノガタを信仰する海の民「イソベリ」は、死を知らない。精霊を司る少年・オトガイだけは真実を知り、死を恐れ、激化する山の民「ヤ…

月人壮士 / 澤田瞳子

⭐️⭐️ 螺旋プロジェクトも六作目に入り、いよいよ古代編。題名は「つきひとおとこ」と読む。これについては最後に解説。気鋭の歴史作家(といっても初耳だが)、澤田瞳子さんの作品。 時代は奈良時代後半、主人公は聖武天皇。歴史の教科書的には東大寺を建立…

コイコワレ / 乾 ルカ

⭐️⭐️⭐️ 螺旋プロジェクト#5、ここから女性作家が二人続く。まずは乾ルカの「コイコワレ」。「蒼色の大地」の明治と「シーソーモンスター」の昭和後期の間を埋めるピースで昭和前期が舞台。具体的には太平洋戦争末期の1944-5年の出来事を海族山族二人の少…

蒼色の大地 / 薬丸 岳

⭐️⭐️ 螺旋プロジェクト第四作目は薬丸岳の「蒼色の大地」。天野純希の「もののふの国」の1000年近くに渡る武士の時代についで、今回は明治が舞台。 薬丸岳の新境地にして新たな代表作。 壮大なスケールで贈るエンタメ巨編! 一九世紀末。かつて幼なじみであっ…

もののふの国 / 天野純希

⭐️⭐️⭐️⭐️ 螺旋プロジェクト第三回発刊は新進歴史小説家天野純希の「もののふの国」。前2作の短期間に絞った設定から打って変わり、平安時代の平将門の乱から、明治初期の西南戦争まで、1000年近くの長きに渡った武士(もののふ)の時代を総括した壮大な物語…

シーソーモンスター / 伊坂幸太郎

⭐️⭐️⭐️⭐️ 螺旋プロジェクト第二回配本は言い出しっぺの伊坂幸太郎。 我が家の嫁姑の争いは、米ソ冷戦よりも恐ろしい。バブルに浮かれる昭和の日本。一見、どこにでもある平凡な家庭の北山家だったが、ある日、嫁は姑の過去に大きな疑念を抱くようになり…。(…

死にがいを求めて生きているの / 朝井リョウ

⭐️⭐️⭐️⭐️ 先日「桐島、部活やめるってよ」をレビューした朝井リョウの新作。と言っても、格別これに興味があったわけではなく、私の大好きな伊坂幸太郎の新作「シーソーモンスター」を読もうと思ったら、それが螺旋プロジェクトの一環で、単独でも読めるけれ…