Count No Count

備忘録、採点表

洋書

Memory Wall / Anthony Doerr

⭐️⭐️⭐️⭐️ 2002年に短編集「The Shell Collector」でデビューし、最新作でピュリッツァー賞を受賞したAnthony Doerrであるが、2018年末までの著作は下記四作品と寡作である(エッセイを除く)。 長編: About Grace(2004)(未邦訳) All The Light We Cannno…

すべての見えない光 / アンソニー・ドーア、藤井光訳

⭐️⭐️⭐️ このブログも300記事目。そこで、このブログで最初に紹介したアンソニー・ドーアの「All The Light We Cannnot See」の邦訳をレビューしてみよう。 So really, children, methematically, all of light is invisible. 数学的に言えば、光はすべて目に…

マイブック 2018年の記録

「ブクレコ」や「本が好き!」でやっていた年末恒例行事、その年の読書総括である。今年はこちらですることにした。 2018/12/20現在、公開レビューが111本、下書き中が9本ある。下書きからはおそらく選ぶことはないと思うので、この時点で思いつくままに選…

なんて素敵にジャパネスク2 / 氷室冴子

⭐︎⭐︎⭐︎ 氷室冴子の「なんて素敵にジャパネスク」復刻版2。最初は前巻のかろみを踏襲して、あいもかわらず瑠璃姫は 「冗談はよしのすけ。」 なんてセリフを連発して笑わせてくれるが、中盤から後半にかけて徐々に物語はヘビーになっていく。 ネタバレになる…

Hyde / Daniel Levine

⭐︎⭐︎⭐︎ スティーヴンソンの名作「The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr.Hyde」をHyde氏側から描いた小説。原作が画期的な名作だったのでそこそこの作品にはなっているだろうとは思ってはいたが、かなりよく考え抜かれた面白い小説になっていた。 作者はDan…

The Strange Case of Dr.Jekyll and Mr.Hyde / Robert Louis Stevenson

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「宝島」のスティーブンソンが書いた、もう一つの古典的名作。「ジキルとハイド」の二重人格で有名だが、原作は自分の勝手な想像とあまりにも違っていた。二重人格を描いた恐怖小説と言うよりも、人間の内面にある善悪両面を抉り出した傑作ミステ…

South of the Border, West of the Sun / Haruki Murakami

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 村上春樹の「国境の南、太陽の西」の英訳版。訳者はこれが初めての長編だったPhilip Gabriel氏。村上春樹氏の作品中最高のファム・ファタール、島本さんを英語で堪能できる。 South of the Border, West of the Sun HarukiMurakami Vintage 1101円 …

The Crossing / Cormac McCarthy

⭐️⭐️⭐️⭐️ コーマック・マッカーシーの代表作「国境三部作」の第二部。前作と別の少年を主人公に、更に陰鬱な受難の旅が描かれる。文章も内容も極端に難解で濃密、安易な読解を作者が拒否しているかのようだ。 The Crossing: Book 2 of The Border Trilogy Co…

イー・イー・イー / タオ・リン

⭐️⭐️ ポストモダンと言えなくもないが、ネット弁慶の戯言に過ぎないという感じもする。台湾系アメリカ人タオ・リンがひがみ根性丸出しで描くゼロ年代アメリカ。 イー・イー・イー タオ・リン 河出書房新社 1512円 Amazonで購入書評

All The Pretty Horses / Cormac McCarthy

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ Cormac McCarthy(コーマック・マッカーシー)の代表作「Border Trilogy:国境三部作」の第一部、邦訳名「すべての美しい馬」。主人公たちの波乱万丈の行動と受難を描く三章と、それを「Fate」と「Responsibility」の問題として洞察する最終章の…

神を見た犬 / プッツァーティ、関口英子訳

⭐️⭐️⭐️⭐️ プッツアーティの短編集で、岩波文庫版の脇功氏訳と、この光文社関口英子さん訳の翻訳比べをしてみた。詳細は下記書表参照してください。脇氏未収録の中にもたくさん面白いものがあったが、海洋版「タタール人の砂漠」というべき、「戦艦<<死>>」は…

My Twentieth Century Evening and Other Small Breakthroughs / Kazuo Ishiguro

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 2017年度ノーベル文学賞を受賞したKazuo Ishiguro(カズオ・イシグロ)のノーベル賞記念講演録が早くも出版された。自らの出自を振り返るとともに、デビュー作「遠い山なみの光」、転機となった幾つかの作品(「日の名残り」「わたしを離さないで…

サロメ / 原田マハ

⭐️⭐️ 原田マハのアート小説シリーズ。オスカー・ワイルドの「サロメ」の挿絵画家オーブリー・ビアズリーと、その姉メイベルが今回の主人公。今回も現代パートと過去パートがあるが、現代パートはほとんど機能していない。文章も相変わらずの修辞の仰々しさが…

骨は珊瑚、眼は真珠 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎ 「南の島のティオ」「マシアス・ギリの失脚」の後に出版された、池澤夏樹が新たなる方向性を探っているような印象の習作的・実験的な短編集。表題はシェイクスピアの「テンペスト」の「エアリアルの歌」からとられている。

Lion Loose / James Schmitz

⭐︎⭐︎ 日本ではあまり知られていないアメリカのSF作家の二流スペースオペラ。恐怖の異生物Hlatはなかなか魅力的ではあるのだが、全体的な構成に難あり。

Voices in the Night / Steven Millhauser

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 短編の名手スティーブン・ミルハウザーの16の短編集。出来不出来はあるものの、「Phantoms」、「Mermaid Fever」、「A Report on Our Recent Troubles」などはミルハウザーらしさが出ていて素晴らしい。そして最後の表題作でのユダヤ人としての自身…

4321 / Paul Auster

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ポール・オースターの新作にて70歳間近とは思えない渾身の大作、等身大の主人公の有り得た四つの人生をアメリカ現代史を背景に並行して描く。最後には恒例の大どんでん返し、相変わらず喰えない人だった。

About Grace: A Novel / Anthony Doerr

⭐️⭐️⭐️⭐️ 「シェル・コレクター」「すべての見えない光」のアンソニー・ドーアの処女長編。予知夢を見る男の波乱万丈の人生。舞台はアラスカからカリブ諸島、そして25年の歳月を経て再びアラスカへ。最終章が深い余韻を残す。が、英語で読むと長い。

All The Light We Cannot See / Anthony Doerr

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ ブクレコレビューより転載: 短編集「シェル・コレクター」で注目を浴びたアメリカの新進作家Anthony Doerr(アンソニー・ドーア)の長編小説です。Kさんが先日レビューされていて、これは読まねばと探したらKindleで原書が安くダウンロードでき…