Count No Count

備忘録、採点表

Memory Wall / Anthony Doerr

⭐️⭐️⭐️⭐️ 2002年に短編集「The Shell Collector」でデビューし、最新作でピュリッツァー賞を受賞したAnthony Doerrであるが、2018年末までの著作は下記四作品と寡作である(エッセイを除く)。 長編: About Grace(2004)(未邦訳) All The Light We Cannno…

昨日がなければ明日もない / 宮部みゆき

⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第五弾。私立探偵になって初めての「希望荘」に続き再び短編集で出版された。昨年末の単行本化なのでようやく現在まで追いついたことになる。 杉村三郎vs.“ちょっと困った”女たち。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの…

希望荘 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第四弾。「誰かーSomebody」「名も無き毒」「ペテロの葬列」長編三部作において、巨大コンツェルンの入り婿という「ドールハウス(解説杉江松恋氏の表現)」から、何故か事件に巻き込まれる運の悪い一市井人杉村三郎が…

楽園 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️⭐️ 大作「模倣犯」はあまりにも登場人物が多く、一人一人取り上げていくとレビューが煩雑になるため、敢えて言及しなかったキャストも多かった。その一人に、前畑滋子というフリーライターがいた。事件を追いかけるルポライターとなり、主犯のピースこ…

ペテロの葬列 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第三弾にして文庫本上下巻に渡る大作。「ペテロの葬列」という題名のうち、ペテロはレンブラントの名画「聖ペテロの否認」に描かれたイエスを裏切った弟子ペテロである。葬列とは被害者が加害者になり連綿と続く悪の連鎖…

名も無き毒 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 続いて杉村三郎シリーズ第二弾。杉村三郎と彼を取り巻く人々、環境が「誰かーSomebody」で提示されているので、二作目はすっと作品世界に入っていける。 『今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだっ…

誰か-Somebody / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第一作。2003年の作品なので、2001年の「模倣犯」とそう離れていない時期である。「理由」「模倣犯」で心身共に疲弊した宮部が再び社会派ミステリーに挑んだわけだが、さすがに「模倣犯」ほどの重さはなく、主人公を刑事…

ソロモンの偽証 / 宮部みゆき

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐️ 宮部みゆきが心血を注ぎ完成させた傑作「ソロモンの偽証」。1990年のクリスマスイブから1991年8月20日までのわずか8カ月間の物語であるが、それを宮部は小説新潮に2002年から2011年まであしかけ9年をかけて連載し完結させた。その量たるや、原稿…

模倣犯 / 宮部みゆき

⭐︎⭐︎⭐︎⭐️ 宮部みゆきの本領、社会派ミステリーの傑作「理由」に続く超大作「模倣犯」である。読んでもいないし、映画も見ていないがそんな私でも大体どうい内容かは知っているほどの有名作品。こういうタイプの犯人は怖気が振るうほど大嫌いなので読んでいな…

すべての見えない光 / アンソニー・ドーア、藤井光訳

⭐️⭐️⭐️ このブログも300記事目。そこで、このブログで最初に紹介したアンソニー・ドーアの「All The Light We Cannnot See」の邦訳をレビューしてみよう。 So really, children, methematically, all of light is invisible. 数学的に言えば、光はすべて目に…

ネクロポリス / 恩田陸

⭐️⭐️ 投げっぱなしジャーマンとの評価も高い(?)恩田陸さん。今回は投げっぱではなかったものの、例によって例の如く上巻上々、下巻はひどい。前半星四つ、後半一つで平均2.5と言いたいところだが、結末があまりにもひどいので星二つ。 この作品、興行プロ…

ICO イコ霧の城 / 宮部みゆき

⭐️⭐️ クローゼットから発掘した宮部みゆきの二冊目は「ICO」。RPGで有名なICOのノベライズである。うちの子がやっていたのは時々見ていたが、寒色系で繊細なグラフィックの印象的な作品だった、と記憶している。宮部みゆきもこのICOの大ファンで、SCEの制作…

理由 / 宮部みゆき

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ どこかに書いたことがあるが、宮部みゆきが「怪物」的な悪を描くようになった時期と自身の阪神淡路大震災による心的疲労の時期が重なり、時代物以外の彼女の作品を読むことをやめてしまった。 しかしその後も彼女は「理由」で直木賞を獲ったのを始…

ドリームバスター / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 久々の宮部みゆき。独り立ちした子供のクローゼットを整理していて二冊見つけ、せっかくなのでブックオフに売る前に読んでみることにした。一冊目は「ドリームバスター」。表紙絵からしてなにかジュブナイルもの、あるいは宮部が好きなRPG的な匂いが…

命売ります / 三島由紀夫

⭐️⭐️⭐️ 三島由紀夫の小説の主だったものは大体読んでいるが、未読のものも多く、時々読み足したくなる。今回は、これまたブックオフで目についた「命売ります」を読むことにした。 下記のAMAZON解説を読むと何やらすごい小説のように思えるが、実質は十台で…

NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ / 姜尚中

⭐︎⭐︎⭐︎ この頃どういうわけか、「本が好き!」に漱石の「こころ」のレビューが多いのでついつい読んでしまう。マーブルさんもそのお一人だが、そのつながりでエドガー・アラン・ポーの短編集のレビューの中で 「こころ」を読むと「ウィリアム・ウィルソン」…

劫尽童女 / 恩田陸

⭐︎⭐︎⭐︎ 汲めども尽きぬ恩田陸の未読作品。今回は彼女お得意の超能力系ミステリー。題名は「こうじんどうじょ」と読む。「劫尽」の説明は物語中盤を過ぎた頃に起こる大厄災を象徴する言葉として出てくる。「こうじんか、劫尽火」、悪いことをすると地獄の劫火…

神去なあなあ日常 / 三浦しをん

⭐️⭐️⭐️ これもブックオフで見かけて思わず手が伸びた。三浦しをんの「神去なあなあ日常」である。映画を観たかったが見逃していたので読んでみることにした。 『高校卒業と同時に三重県の山村に放り込まれた平野勇気19歳。林業の現場に生きる人々の1年間のド…

ストレンジ・デイズ / 村上龍

⭐️ ブックオフで買った二冊目の村上龍。これは長編だが未読だった。 以前「MURAKAMI」のレビュー(たしかブクレコ)で書いたことがあるが、SM等の倒錯した性を露骨に扱い始めた龍に興醒めして一時離れていたことがあった。大長編でいうと、「愛と幻想のファシ…

マイブック 2018年の記録

「ブクレコ」や「本が好き!」でやっていた年末恒例行事、その年の読書総括である。今年はこちらですることにした。 2018/12/20現在、公開レビューが111本、下書き中が9本ある。下書きからはおそらく選ぶことはないと思うので、この時点で思いつくままに選…

空港にて / 村上龍

⭐️⭐️⭐️ 先日ブックオフで村上龍を二冊買った。その一冊が「空港にて」。龍はよく読んでいるが、殆どが長編大作ばかりで、短編集はあまり読んでいない。これはその一冊。 一読して、ああ、村上龍らしいな、と思った。彼の文体には特にこれといった特徴や個性…

バナナ剝きには最適の日々 / 円城塔

⭐︎⭐︎ 円城塔の作品の中では比較的わかりやすい短編集だというので読んでみた。 。。。。。どこが?。。。。。 まあ、「Self-Reference ENGINE」は短編集といっても相互連関があるのでなかなか途中ではやめにくい。でも、この作品集はそれぞれが独立した作品…

ぐるりのこと / 梨木香歩

⭐︎⭐︎ 「海うそ」がよかったので、続けて梨木香歩を読んでみたが、う~ん、こんなはずじゃなかった、というのが二点あった。 まずは自分の勘違い。以前「ぐるりのこと」といううつ病を扱った映画を見ていたので、それの原作だと思っていた。これが全くの間違…

ふうらい姉妹 第四巻 / 長崎ライチ

⭐️⭐️ 美女だけど残念な姉妹のゆる〜いギャグが持ち味のふうらい姉妹も最終巻。長崎ライチのお二人、お疲れさまでした。というわけで第四十一回ー第五十二回、最終回、特別編「いろどり広場(イラストギャラリー)」、おまけ漫画「電車にて」、「いろどり広場…

ふうらい姉妹 第三巻 / 長崎ライチ

⭐️⭐️⭐️ くせになる、ゆる~いギャグ漫画「ふうらい姉妹」も第三巻。第二十七回~四十回に加え、今回もおまけとして「宝物」「回想録」「いろどり広場」を収録。そして今回は狭間に「登場人物図鑑」が入ります。 (8)山本れい子・しおり (9)とうとつくん…

海うそ / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 久しぶりの梨木香歩。主だったところはすでに「本が好き!」でレビューしていたのだが、読み残しも多く、まずは一番気になっていた「海うそ」から読んでみることにした。2014年の作品で、驚いたことにWikipediaで確認したところ長編は今のところこ…

フーガはユーガ / 伊坂幸太郎

⭐️⭐️ 伊坂幸太郎の約一年ぶりの新作「フーガはユーガ」、またまた奇妙なタイトルですがこの題名に関しては、冒頭ですぐネタあかしされます。常盤風雅・優雅の双子が主人公の物語なのです。頭空っぽのDV父と無関心を絵にかいたような無責任母がよくこんなまと…

ふうらい姉妹 第二巻 / 長崎ライチ

⭐︎⭐︎⭐︎ あかつき姐さんに勧められて読んだ長崎らいちの「ふうらい姉妹」にはまってしまったので第二巻。第十四回ー二十六回、「回想録」「いろどり広場」収録。各章の合間に諸種外国語版台詞の「世界のふうらい姉妹」が挟まれる。 あいかわらずまったりした…

熱帯 / 森見登美彦

⭐︎⭐︎⭐︎ 森見登美彦の最新刊が出た。題名は京都とは何の関係もなさそうな「熱帯」。熱帯密林に予約注文しておいたのだが、届いた本を見てびっくり。 分厚い! なんと523Pもある。こんなもん持ち歩けるか。 と思ったが、さすがモリミン、ページターナーである…

天子蒙塵 第四巻 / 浅田次郎

⭐︎⭐︎⭐︎ 浅田次郎先生の近代中国史シリーズ第五部「天子蒙塵」いよいよ完結、という事で、第三巻に次いで読了。感無量と言いたいところだが、率直なところ尻すぼみ感しか残らなかった。この巻だけをとってみれば、すべてのエピソードが中途半端なまま。恩田陸…