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備忘録、採点表

絵を見る技術 名画の構造を読み解く / 秋田麻早子

⭐︎⭐︎⭐︎ 絵画を見るのが好きで、よく美術展に行く。始まりは学生時代に美術教科書で見たモネの「日の出 ー印象ー」だったが、そこから印象派〜ポスト印象派〜キュビズム〜バウハウス〜モダンアート等々と派生していった。 逆に時代を遡るのは苦手で、西洋のい…

小説 天気の子 / 新海誠

⭐︎⭐︎⭐︎ 新海誠の最新映画「天気の子」の小説版。監督自身によるノベライズ版なので、基本的には映画と同じもの。よってこの小説を映画と切り離して単体で読まれる方はまずおられないと思うので、「もう映画は観ている」という前提でレビューを進めていきたい…

しゃばけ漫画 佐助の巻 / 畠中恵、萩尾望都、他

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズの文庫本落穂拾い、人気漫画家によるトリビュート「しゃばけ漫画」、仁吉の巻についで今回は佐助の巻。ついに真打モー様の登場! 原作:畠中恵 キャラクターイメージ原案:柴田ゆう 漫画: 萩尾望都: うそうそ 箱根の湯治についての…

しゃばけ漫画 仁吉の巻 / 畠中恵、高橋留美子、他

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズの文庫本落穂拾い。2013年、「小説新潮」で人気漫画家によるトリビュート漫画の連載が開始され、翌年それらを集めたアンソロジー集がパンチコミックスから刊行され、2016年には潮文庫から「しゃばけ漫画 仁吉の巻」「しゃばけ漫画 佐…

スペードの3 / 朝井リョウ

⭐︎⭐︎⭐︎ 朝井リョウを読んでいくシリーズ、今回は「スペードの3」を選んでみた。 トランプゲームの「大富豪」に擬えた「スペードの3」「ハートの2」「ダイヤのエース」の三章からなり、それぞれの仕掛けに工夫を凝らすとともに、三編がうまくリンクして一…

異邦人(いりびと) / 原田マハ

⭐︎⭐︎ この小説を個人的感想を抜きにして評価すれば良くできた小説である、と思う。 プロットはよく練られており、東京と京都に離れてしまった夫婦の感情のすれ違いや行動の行き違いが傷口を徐々に広げていく様、女性同士の交情と最後の種明かし、画廊経営の…

おおあたり / 畠中恵

⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズもついに第15弾、文庫本で出ている限りではこれで最終、一つの区切りとなる。今回は「おおあたり」がテーマだが、統一感には乏しく、残念ながら大当たりではない。とはいえ、もう職人技の域、安定したクオリティではあるので、しゃばけ…

なりたい / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ第14弾。今回は「〜になりたい」と言う題名が五つ並んでいる。ことの始まりは、畠中さんは断言はしていないが珍しくも大妖の手代二人仁吉と佐助の失策である。 若だんなが恒例によって寝こむ少し前に、近所で似た年頃の若者が亡くな…

ずえずえ / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ、第13巻。今回は栄吉や若だんなの嫁取り騒動に絡めて、若だんなの将来についての展望が語られる。妖と人間との時間感覚の差異はこれまで何度も触れられきて、特に「ちんぷんかん」収録の「はるがいくよ」などはシリーズ中屈指の傑作…

たぶんねこ / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ第12弾。外伝から再び本伝に戻って短編五編が並ぶが、今回は「序」がついている。奇跡的に二月ひと月病にかからなかった若だんな、喜んだ手代二人は若だんなに五つのことを約束させる。 一 半年間仕事をしない 二 半年間恋はお預け …

えどさがし / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズの番外編。 「500年の判じ絵」 主人公は佐助(犬神)。ひたすら旅を続ける佐助、今は江戸へ向かう途中で三島宿にいる。街道脇の茶屋に貼られていた判じ絵がどうも妖の佐助宛てに書かれたようで、居合わせた化け狐の朝太と謎解きを始…

ひなこまち / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ しゃばけシリーズ、第11巻。今回も五編からなるが、全体を通してのテーマは「若だんなの人助け」、そして裏テーマは「ゆんでめて」の後始末。 第一話「ろくでなしの船箪笥」冒頭で、若だんながある日、一つの木札と出会うところから話は始まる。それ…

堕落論 / 坂口安吾

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「本が好き!」の企画に参加したのでこちらにも残しておく。 新潮文庫版「堕落論」には17編の評論随筆が収録されており、解説は柄谷行人氏が書いておられる。講演録と思われる作品もあるが、ほとんどは安吾らしい「無頼派」な文章で彼一流の美学が…

やなりいなり / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ しゃばけシリーズも第十巻、例によって五つの作品が並ぶが、今回の特徴は「料理」。しゃばけシリーズのお楽しみである江戸時代の料理、それを今回は各作品に活かし、レシピを冒頭に掲げている。さらに解説では東京大塚の江戸前料理店経営の料理家福田…

小鳥たち / 山尾悠子、中山多理

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 山尾悠子待望の新刊である。今回は人形作家の中川多理さんとのコラボレーションで、作品数は掌編三編と少ないが、中川さんの「小鳥たち」や「老大公妃」の人形の写真が多数挿入され、「怖いけれど美しい」という共通する個性が共鳴し合い、とても素…

クジラアタマの王様 / 伊坂幸太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 伊坂幸太郎の新作書き下ろし長編。彼の新作といえば「シーソー・モンスター」をレビューしたばかりだが、あちらは螺旋プロジェクトの一環で、こちらは単独作品。伊坂さんこの頃ハイペース。そういえば「シーソーモンスター」の「アイムマイマイ」と…

しゃばけ読本 / 畠中恵

⭐︎⭐︎⭐︎ 畠中恵さんのしゃばけシリーズ、ここでちょっと一休み。ちょうど「ゆんでめて」まで来たところで出た解説本「しゃばけ読本」をご紹介。「しゃばけ」シリーズの解説や畠中さんの創作の裏側を覗けるのもさることながら、いつもシリーズの表紙を飾るかわ…

椿宿の辺りに / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎ 梨木香歩さん五年ぶりの新作は「f植物園の巣穴」の続編。前半のまったりしたユーモアは楽しめたが、後半「非常な不幸に見舞われている佐田家の子孫」の原因を実家と椿宿全体の治水の話に結びつけていくあたりは牽強付会過ぎて、というか「異界譚ファ…

f植物園の巣穴 / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 新刊「椿宿の辺りに」がこの作品の続編だそうで、先にこちらをレビューしておこう。2008年の作品で、同傾向の作品である「家守奇譚」(2004)と続編の「冬虫夏草」(2013)の間に書かれており、また、彼女の最高傑作との呼び声も高い「沼地のある森…

ゆんでめて / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️⭐︎ しゃばけシリーズも九作目に入る。短編五本で一冊というのがもう恒例となっているが、毎回色々と趣向を凝らせ飽きさせないように努力されているのは立派。 今回は離れの火事で行方不明になってしまった屏風のぞきをめぐり、四年後から始めて、一年…

天使も怪物も眠る夜 / 吉田篤弘

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 螺旋プロジェクトもいよいよ最終刊、八冊目となる未来編。アンカーを託された作家はクラフト・エヴィング商會の吉田篤弘。作品名は「天使も怪物も眠る夜」。螺旋プロジェクトのルールである「海族」と「山族」の争いにアンカーとして終止符を打つこ…

ウナノハテノガタ / 大森兄弟

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 螺旋プロジェクト#7。このシリーズもいよいよあと二冊、今回は大森兄弟の「ウナノハテノガタ」。 楽園ウナノハテノガタを信仰する海の民「イソベリ」は、死を知らない。精霊を司る少年・オトガイだけは真実を知り、死を恐れ、激化する山の民「ヤ…

月人壮士 / 澤田瞳子

⭐️⭐️ 螺旋プロジェクトも六作目に入り、いよいよ古代編。題名は「つきひとおとこ」と読む。これについては最後に解説。気鋭の歴史作家(といっても初耳だが)、澤田瞳子さんの作品。 時代は奈良時代後半、主人公は聖武天皇。歴史の教科書的には東大寺を建立…

ころころろ / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ しゃばけシリーズ第八作。いつものように五編の短編が並んでいるが、今回はその全てを貫いて、若だんなの失明騒動を描いているところが面白い試み。 まず一作目の「はじめての」では、若だんな一太郎12歳の頃のほのかな初恋が描かれる。その初恋の少…

チコちゃんに叱られる! / NHK「チコちゃんに叱られる!」制作班

⭐︎⭐︎⭐︎ ボーっと生きてんじゃねーよ! チコちゃんラインスタンプ といきなりかましてみましたように、わたくし、今や国民的番組となったNHKの「チコちゃんに叱られる!」が大好きで毎週録画して観ております。 この番組、小生意気で何でも知ってる「永遠の5歳…

ポーの一族 ユニコーン編

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ついに出ました、世界にその名を轟かせるJapanese Shojo Manga「The Poe Clan」こと、萩尾望都先生の「ポーの一族」の最新巻「ユニコーン」。 いよいよ40年前の「ポーの一族」の最終章「エディス」と、前作「春の夢」の世界が融合し、新たなポーの…

コイコワレ / 乾 ルカ

⭐️⭐️⭐️ 螺旋プロジェクト#5、ここから女性作家が二人続く。まずは乾ルカの「コイコワレ」。「蒼色の大地」の明治と「シーソーモンスター」の昭和後期の間を埋めるピースで昭和前期が舞台。具体的には太平洋戦争末期の1944-5年の出来事を海族山族二人の少…

いっちばん / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ しゃばけシリーズ第七作。安定の短編五編構成。にぎやかに妖勢ぞろいで始まるが、後半はちょっと退屈、このシリーズのお約束の設定に沿った話でまあまあ予定調和の世界。 兄の松之助が長崎屋を出て所帯を持ち、親友の栄吉は菓子作りの修業へ。普段か…

蒼色の大地 / 薬丸 岳

⭐️⭐️ 螺旋プロジェクト第四作目は薬丸岳の「蒼色の大地」。天野純希の「もののふの国」の1000年近くに渡る武士の時代についで、今回は明治が舞台。 薬丸岳の新境地にして新たな代表作。 壮大なスケールで贈るエンタメ巨編! 一九世紀末。かつて幼なじみであっ…

ちんぷんかん / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ しゃばけシリーズ第六作。いきなり若だんなが冥土送りになりびっくりさせるが、全体を通じては、貰い火で焼け落ちた長崎屋の新築と腹違いの兄松之助の縁談の成り行きが語られる。 「私ったら、死んじゃったのかしらねえ」長崎屋が大火事に巻き込まれ…