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備忘録、採点表

書籍

訪問者 / 萩尾望都

☆☆☆☆ 「トーマの心臓」の重要登場人物、オスカー・ライザーを主人公としたスピンオフ作品。 彼の出生の秘密は「トーマの心臓」でほぼ明らかとなっている。すなわち、彼を育てたグスタフ・ライザーは実父ではなく、彼の旧友であるシュロッターベッツ校長ルド…

砂浜に坐り込んだ船 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎ 久々の池澤夏樹。久しぶりに何かナッキーの本を読みたいなあ、と思っていたところへのタイミング良きFBフレンドのお勧め、ありがたし。彼女ほどのレビューは書けないが、思うところを少し。 この作品は短編集だが、表題作をはじめとして、前半は3.11…

トーマの心臓 / 萩尾望都

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 萩尾望都先生の「ポーの一族」と並ぶ初期の代表作の一つ。当時は憧れでしかなかった欧州のギムナジウム、禁断の少年愛の世界、巧妙なプロット、繊細な画風、後の少女漫画に与えた影響は計り知れない。 この時期の少年愛漫画の双璧をなすもう一つ…

尻啖え孫市(上)(下) / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 和田竜の「村上海賊の娘」で久しぶりにその名前を目にした雑賀の孫市。この男の小説と言えばこれしかない、という決定版。司馬遼太郎先生の「尻啖え孫市」だ。 『織田信長の岐阜城下に、真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、「日本一」と書いた旗を従…

アンジェリーナ 佐野元春と10の短編 / 小川洋子

⭐︎⭐︎ 以前「本が好き!」で踊る猫さんのレビューを絶賛したことがある小川洋子の短編集。でも個人的にはこの本はMOTO the Lionこと佐野元春の大ファンの私としては逆にレビューし辛い。小川洋子らしい小説もあるのだが、全体としてMOTOの音楽に比べると大し…

真説宮本武蔵 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎ 司馬遼太郎の剣豪を主題にした短編集。 表題作は、吉川英治版でない、漫画バガボンドでもない、限りなく事実に近いだろう宮本武蔵を活写した司馬遼太郎の真骨頂。 もちろんおつうは出てこない(あれは吉川英治の創作)。有名な佐々木小次郎との巌流島…

Hyde / Daniel Levine

⭐︎⭐︎⭐︎ スティーヴンソンの名作「The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr.Hyde」をHyde氏側から描いた小説。原作が画期的な名作だったのでそこそこの作品にはなっているだろうとは思ってはいたが、かなりよく考え抜かれた面白い小説になっていた。 作者はDan…

クレオパトラの夢 / 恩田陸

⭐︎⭐︎ オネエ喋りの神原恵弥(めぐみ)シリーズ第二弾。「MAZE」があまり面白くなかったので、随分ほったらかしにしてあったが、やっと読んだ。 恩田陸と言えば「大風呂敷広げ過ぎの畳み忘れ」が特徴なのだが、これは逆。前半思わせぶりにいろんな謎を散りば…

神様のボート / 江國香織

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ あり得ないような設定をするっと読ませてしまう江國香織。今回はちょっと狂気を孕んだ母葉子と普通の娘草子の物語。二人の語りが交互に入り、娘の成長とともに少しずつ少しずつ二人の心の距離が開いていくところが読みどころで、最後の一文まで気…

落下する夕方 / 江國香織

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 久々の江國香織の小説は慈雨のように私の心を満たした。 原田知世と菅野美穂の共演で映画化された作品「落下する夕方」です。映画は率直なところ凡庸な出来で、不思議な、というか妙な雰囲気で、この二人の魅力が今一つ伝わってきませんでした。こ…

ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ / イリーナ・メジューエワ

⭐︎⭐︎⭐︎ ロシア出身で現在は日本在住の名ピアニスト、メジューエワさんのピアノ曲解説本。ピアニストの視点からの解説はさすがに鋭い。 とは言え、彼女は日本語で文章は書けないので、編集者と家人の力を借り、語りのセッションを9回繰り返して完成させたそう…

李鷗 / 高村薫

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 高村薫流BLの極みと言える、中国人ヒットマン李鷗 。久々に再読、記憶違いも沢山あったが、やっぱりいい。李歐よ、君は大陸の覇者になれ、僕は君についていく夢を見るから。 李歐 高村薫 講談社 780円 Amazonで購入書評 先日レビューした佐藤亜紀…

スウィングしなけりゃ意味がない / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 「馬鹿の帝国」対「スイングユーゲント」。ハンブルグの上流階級の息子たちのナチへの反抗と悲劇をスイングジャズに乗せてコミカルにシニカルに描き尽くしているが、文章が平易すぎて佐藤亜紀とは思えない。 佐藤亜紀を読むシリーズ、年代順に読んで…

梟の城 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 司馬遼太郎氏の長編デビュー作にしてこの完成度。直木賞受賞も当然だろう。その後のエッセイ的スタイルとは全く違う普通の忍者小説だが、そういうものを書いても一流だったことがよくわかる。 「司馬遼太郎の初長編作品にしてこの完成度。非情を旨…

鏡の影 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀第三作。舞台は再び欧州、時代はバルタザールよりはるかに遡り16世紀。異端の学僧ヨハネスの見る中世キリスト教社会の諸相。後に平野啓一郎パクリ疑惑、新潮社引き上げ事件をも引き起こした難解な書。 鏡の影 佐藤亜紀 新潮社 円 Amazonで…

空海 / 高村薫

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 孤高の天才空海の構築した余人の理解を容易に許さない哲学体系を語るとともに、日本という国が弘法大師信仰という霊験あらたかな民間宗教に変質させていった過程を丁寧に追った、高村薫の思索の旅。 空海 高村薫 新潮社 1944円 Amazonで購入書評

戦争の法 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀第二作。日本に舞台を移したポリティカル・フィクションだが、率直に言ってラスト近くの不思議で切ないシーンまでは退屈。文章は高村薫、アイデアと情報は村上龍、の「亜(紀)流」みたいな。 戦争の法 佐藤亜紀 Tamanoir 円 Amazonで購入書評

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ四 / 夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ いよいよ最終部。夢枕獏先生自画自賛の大団円。全ての伏線を回収し、最後は長恨歌全文掲載の大サービス。先生見事なり。それにしてもフィクションからでも、唐で金剛・胎蔵の両密法を灌頂され、真言宗の祖となった空海の凄さは伝わってくる。 沙…

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三 / 夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ いよいよ佳境 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ三 夢枕獏 角川書店(角川グループパブリッシング) 660円 Amazonで購入書評

隣のずこずこ / 柿村将彦

⭐︎⭐︎ 復活した日本ファンタジーノベル大賞2017受賞作。萩尾望都、森見登美彦、恩田陸大絶賛、全員一致で選ばれたという傑作らしいが。。。この三人が一致?かえって不安なような。。。という予感は見事に当たった。 隣のずこずこ 柿村将彦 新潮社 円 Amazon…

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二 / 夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 唐に渡った空海の活躍を描く夢枕獏のシリーズ、第二巻。「長恨歌」の白居易(白楽天)も登場、楊貴妃の悲劇も明らかとなる。 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ二 夢枕獏 角川書店(角川グループパブリッシング) 660円 Amazonで購入書評

沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 /夢枕獏

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 密教の真髄を求め唐に渡った空海の活躍を描く歴史ファンタジー、第一作。映画「KU-KAI 美しき王妃の謎」の原作。映画はイマイチだったが、さすが夢枕獏、原作は面白い。 沙門空海唐の国にて鬼と宴す 巻ノ一 夢枕獏 角川書店(角川グループパブリッシ…

The Strange Case of Dr.Jekyll and Mr.Hyde / Robert Louis Stevenson

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「宝島」のスティーブンソンが書いた、もう一つの古典的名作。「ジキルとハイド」の二重人格で有名だが、原作は自分の勝手な想像とあまりにも違っていた。二重人格を描いた恐怖小説と言うよりも、人間の内面にある善悪両面を抉り出した傑作ミステ…

バルタザールの遍歴 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀の処女小説にして第三回日本ファンタジーノベル大賞受賞作。文章の完成度と欧州現代史の知識を縦横無尽に使いこなす技術は圧倒的。ただ、その完成度に比して着想をうまく活かしきれていない。 バルタザールの遍歴 佐藤亜紀 文藝春秋 660円 …

South of the Border, West of the Sun / Haruki Murakami

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 村上春樹の「国境の南、太陽の西」の英訳版。訳者はこれが初めての長編だったPhilip Gabriel氏。村上春樹氏の作品中最高のファム・ファタール、島本さんを英語で堪能できる。 South of the Border, West of the Sun HarukiMurakami Vintage 1101円 …

森崎書店の日々 / 八木沢里志

⭐️⭐️⭐️ 失恋した女性が、苦手と思っていた古書店を営む叔父に心癒されていく物語。古書店を扱った作品の中ではかなり好きな作品の一つ。映画では内藤剛志さんと菊池亜希子さんが好演されていた。 森崎書店の日々 八木沢里志 小学館 500円 Amazonで購入書評

銀の三角 / 萩尾望都

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 萩尾望都SFの最高峰にして超難解かつ美しい傑作。 銀の三角 萩尾望都 白泉社 650円 Amazonで購入書評

天使 / 佐藤亜紀

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️ 気を許せば脳を燃やしてしまう火酒のような文章。知性と教養を強要する内容。思惟できない低能な者は読まなくていい、とでも言いたげな高慢なまでの読者への挑戦。大好物だ。ちなみにこれでもSF。 天使 佐藤亜紀 文芸春秋 620円 Amazonで購入書評

10月の少女たち / 萩尾望都

⭐️⭐️⭐️ 萩尾望都の1970年代の短編集。初期故にさすがに絵もストーリーも少女漫画してる。そんな中でも「精霊狩り」シリーズが魅力。解説はなんと吾妻ひでおしぇんせい! 10月の少女たち 萩尾望都 小学館 710円 Amazonで購入書評

中世騎士物語 / ブルフィンチ、野上弥生子訳

⭐️⭐️⭐️⭐️ アーサー王伝説を中心とした中世騎士物語の成立とその概要を理解するのに適した良書。「アーサー王の死」だけでなく「マビノジョン」も収録されているのが嬉しい。翻訳はなんと故野上弥生子女史、さすがの文章だ。 中世騎士物語 ブルフィンチ 岩波…