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備忘録、採点表

書籍

私の家では何も起こらない / 恩田陸

⭐️ とことんつまらない。昔読んだホラーだか幽霊話だかのオマージュらしいけれど、どの話も水準以下。もっと凄いものを書ける人がこの程度の短編でお茶を濁しておいて、最終話で一丁前のゴタクを並べている。ファンをなめるなよな、という感じ。内容は書く気…

逆説の日本史21幕末年代史編IV / 井沢元彦

⭐️⭐️⭐️ 井沢元彦の逆説の日本史、幕末年代史編もいよいよ大詰めに入った。前巻の大混乱期に続いて1865年から1869年まで、日本史史上最高の激動期で、薩長同盟の成立、四境戦争(第二次長州征伐)、大政奉還、王政復古、鳥羽・伏見の戦い、慶喜遁走、江戸城無…

逆説の日本史20幕末年代史編III / 井沢元彦

⭐️⭐️⭐️ 井沢元彦の「逆説の日本史」、この度文庫版でも幕末編が完結したので、残っていた二冊をまとめて読んでみた。 幕末史はあまりにも資料が多すぎ、事件や登場人物が多すぎ、全体像を把握するのがとても難しい時代である。それを井沢は年ごとに分けて検…

銀河英雄伝説 全15巻BOX SET / 田中芳樹

⭐️⭐️⭐️⭐️ 銀河英雄伝説、通称「銀英伝」、SFファンのみならず、本好きアニメ好きの方なら知らぬ者はないだろう傑作大河スペースオペラ、田中芳樹の代表作である。 もともとは徳間書店から出ていたが、田中芳樹曰く「創元SF文庫を終の棲家と定めた」そうで、…

吸血鬼 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズもこの作品でついに(小説は)終了である。2016年の「吸血鬼」。参った。ひれ伏す思い、とはこのことだ。 この物語は限りなく陰鬱で限りなく寒々として限りなく残酷で限りなく狡猾で、そして限りなく美しい。至高の佐藤亜…

夢違 / 恩田陸

⭐️⭐️⭐️ 提督とあかつき姐さんがレビューしてたので、興味を惹かれた。なんにせよ、恩田陸さんだし。 ちなみに題名は「ゆめたがい」ではなく、「ゆめちがい」だそうだ。終章で出てくるある有名な仏像の名前から題名がとられていると考えてよいと思う。となる…

激しく、速やかな死 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 今のところ、「天使」のスピンオフ集「雲雀」を除けば唯一の短編集である。例によって舞台はフランス革命前後の欧州がメインだが、珍しく当時の新天地アメリカも登場する。もちろん佐藤亜紀流で、ではあるが。なお本作も本文中では余計な説明一切なし…

蛍、納屋を焼く、その他の短編 / 村上春樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 村上春樹の初期短編集で、特に「蛍」は好きな作品である。この作品はよく知られているように、後に大ベストセラーとなった「ノルウェイの森」の導入部に丸ごと底本として使われた短編である。 しかし、その膨らませ方は私にはあまり好ましいものと…

金の仔牛 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズ、いよいよ残り少なくなってきた。今回は2012 年の作品「金の仔牛」、元祖バブル、18世紀フランスでジョン・ローの施行した「ル・システム」という金融実験に踊り踊らされる人々を面白おかしく描いた群像劇である。 佐藤流ユ…

空海「三教指帰」-ビギナーズ日本の思想

⭐︎⭐︎⭐︎ 先日読んだ「空海の風景」で司馬遼太郎先生が数々の空海の著作や口伝を詳説されていた。そのうちの一つでも読んでみたいと思っていたが、「三教指帰(さんごうしいき)」が角川ソフィア文庫の「ビギナーズ日本の思想」から出ていた。著者は大正大学講…

醜聞の作法 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズ、今回は2010年発表の「醜聞の作法」。革命前のフランスはパリで起こる騒動を、いかにも翻訳フランス文学的な文章と書簡体小説という形式で描き出す。 実際ディドロの小説のパスティーシュ的な部分もあり、これを当時のフラン…

空海の風景 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 最近司馬遼太郎先生の本を読んでいるのは、この作品を再読したいと思っていたから。「本が好き!」をやめる前から考えていたので、ずいぶん遠回りしてしまったことになるが、ようやく再読した。 できれば発刊当時の感動を味わうべく単行本で読み…

ミノタウロス / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀を読むシリーズ、前回の「1809」から、レビュー済の傑作「天使」「雲雀」を経て、いよいよ代表作「ミノタウロス」、2007年の作品に辿り着いた。この時点で彼女を新人とするのもおかしな話だが、第29回吉川英治文学新人賞を受賞している。そ…

1809 / 佐藤亜紀

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 佐藤亜紀の長編第五作「1809 ナポレオン暗殺」(1997)。前作「モンティニーの狼男爵 」に続き欧州が舞台。でもフランスの話じゃなくて、ナポレオンのオーストリア攻めの頃のウィーンが主舞台。題名の通り、1809年の有名な「シェーンブルンの和約」…

李陵 山月記 / 中島敦

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 先日読んだ万城目学の「悟浄出立」、その表題作の執筆動機となった中島敦の「悟浄出世」を探していたところ、この小学館文庫に収録されていた。 迷いに迷って、偉い先生(と呼ばれている人)の元を次から次へと訪れ教えを乞うても、自分というも…

大盗禅師 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎ 司馬遼太郎先生の作品は大体知っているつもりだが、先日本屋で司馬先生のコーナーを眺めていて、ふと目についたのがこの作品。この題名は見たことがない、未読は間違いない、ということで購入。 解説によると、全集未収録の幻想歴史小説だそうで、昭…

かのこちゃんとマドレーヌ夫人 / 万城目学

⭐︎⭐︎⭐︎ 万城目学のもう一つの未読作品。前回の「悟浄出立」とは違ってユーモアを交えたほのぼのしみじみ系で、どちらかと言えばジュブナイル系である。 こういうものも書けるのだなあと感心する一方で、わざわざマキメーでこういうものを読まなくても、とい…

悟浄出立 / 万城目学

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ マキメーこと万城目学の未読作が文庫本になっていたので読んでみた。中国の有名な古典や歴史に題材をとった5編の短編集。意外や意外、真面目な作品ばかりで驚いた。中島敦にインスパイアされて書いたという説明に納得。マキメー独特のユーモアは封…

朝日のようにさわやかに / 恩田陸

⭐︎⭐︎⭐︎ やってしまった。超多作の恩田陸さんなので、重複買いには十分気をつけていたかいこが、初めての二度買い。目次の一作目の題名を見て愕然。「水晶の夜、翡翠の朝」。。。そう、理瀬シリーズのヨハン君の話じゃないか。 まあせっかく買ったんだし読ん…

訪問者 / 萩尾望都

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「トーマの心臓」の重要登場人物、オスカー・ライザーを主人公としたスピンオフ作品。 彼の出生の秘密は「トーマの心臓」でほぼ明らかとなっている。すなわち、彼を育てたグスタフ・ライザーは実父ではなく、彼の旧友であるシュロッターベッツ校長…

砂浜に坐り込んだ船 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎ 久々の池澤夏樹。久しぶりに何かナッキーの本を読みたいなあ、と思っていたところへのタイミング良きFBフレンドのお勧め、ありがたし。彼女ほどのレビューは書けないが、思うところを少し。 この作品は短編集だが、表題作をはじめとして、前半は3.11…

トーマの心臓 / 萩尾望都

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 萩尾望都先生の「ポーの一族」と並ぶ初期の代表作の一つ。当時は憧れでしかなかった欧州のギムナジウム、禁断の少年愛の世界、巧妙なプロット、繊細な画風、後の少女漫画に与えた影響は計り知れない。 この時期の少年愛漫画の双璧をなすもう一つ…

尻啖え孫市(上)(下) / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 和田竜の「村上海賊の娘」で久しぶりにその名前を目にした雑賀の孫市。この男の小説と言えばこれしかない、という決定版。司馬遼太郎先生の「尻啖え孫市」だ。 『織田信長の岐阜城下に、真っ赤な袖無羽織に二尺の大鉄扇、「日本一」と書いた旗を従…

アンジェリーナ 佐野元春と10の短編 / 小川洋子

⭐︎⭐︎ 以前「本が好き!」で踊る猫さんのレビューを絶賛したことがある小川洋子の短編集。でも個人的にはこの本はMOTO the Lionこと佐野元春の大ファンの私としては逆にレビューし辛い。小川洋子らしい小説もあるのだが、全体としてMOTOの音楽に比べると大し…

真説宮本武蔵 / 司馬遼太郎

⭐︎⭐︎⭐︎ 司馬遼太郎の剣豪を主題にした短編集。 表題作は、吉川英治版でない、漫画バガボンドでもない、限りなく事実に近いだろう宮本武蔵を活写した司馬遼太郎の真骨頂。 もちろんおつうは出てこない(あれは吉川英治の創作)。有名な佐々木小次郎との巌流島…

Hyde / Daniel Levine

⭐︎⭐︎⭐︎ スティーヴンソンの名作「The Strange Case of Dr. Jekyll and Mr.Hyde」をHyde氏側から描いた小説。原作が画期的な名作だったのでそこそこの作品にはなっているだろうとは思ってはいたが、かなりよく考え抜かれた面白い小説になっていた。 作者はDan…

クレオパトラの夢 / 恩田陸

⭐︎⭐︎ オネエ喋りの神原恵弥(めぐみ)シリーズ第二弾。「MAZE」があまり面白くなかったので、随分ほったらかしにしてあったが、やっと読んだ。 恩田陸と言えば「大風呂敷広げ過ぎの畳み忘れ」が特徴なのだが、これは逆。前半思わせぶりにいろんな謎を散りば…

神様のボート / 江國香織

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ あり得ないような設定をするっと読ませてしまう江國香織。今回はちょっと狂気を孕んだ母葉子と普通の娘草子の物語。二人の語りが交互に入り、娘の成長とともに少しずつ少しずつ二人の心の距離が開いていくところが読みどころで、最後の一文まで気…

落下する夕方 / 江國香織

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 久々の江國香織の小説は慈雨のように私の心を満たした。 原田知世と菅野美穂の共演で映画化された作品「落下する夕方」です。映画は率直なところ凡庸な出来で、不思議な、というか妙な雰囲気で、この二人の魅力が今一つ伝わってきませんでした。こ…

ピアノの名曲 聴きどころ 弾きどころ / イリーナ・メジューエワ

⭐︎⭐︎⭐︎ ロシア出身で現在は日本在住の名ピアニスト、メジューエワさんのピアノ曲解説本。ピアニストの視点からの解説はさすがに鋭い。 とは言え、彼女は日本語で文章は書けないので、編集者と家人の力を借り、語りのセッションを9回繰り返して完成させたそう…