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備忘録、採点表

日本文学

おまけのこ / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ 畠中恵のしゃばけシリーズも第四巻。前作でそろそろ本格長編も読みたいと書いたが、残念ながら今回も短編集で5編おさめられている。残念ながらとは言ったが、畠中さん、手を替え品を替え楽しませてくれるので満足感は高い。 一人が寂しくて泣きます…

死にがいを求めて生きているの / 朝井リョウ

⭐️⭐️⭐️⭐️ 先日「桐島、部活やめるってよ」をレビューした朝井リョウの新作。と言っても、格別これに興味があったわけではなく、私の大好きな伊坂幸太郎の新作「シーソーモンスター」を読もうと思ったら、それが螺旋プロジェクトの一環で、単独でも読めるけれ…

ぬしさまへ / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ 「しゃばけ」が好評で書かれた続編、しゃばけシリーズ第二巻。短編集だが、粒そろいの人情噺が並んでおり、結構ホロリとさせられた。「しゃばけ」では全くネタバレさせないように気をつけたが、この巻以降はある程度のネタバレをお許しいただきたい。…

ねこのばば / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ しゃばけシリーズ、第三巻。ますます好調ではあるが、二冊連続して短編集、しかも同工異曲的になってきており、だいたい展開が読めるようになってきた。次あたり、そろそろ本格長編も読みたいところ。 お江戸長崎屋の離れでは、若だんな一太郎が昼ご…

猫のまぼろし、猫のまどわし / 東雅夫編

⭐️⭐️⭐️ 東京創元社文庫創刊60周年祝企画のリストに「猫のまぼろし、猫のまどわし」という面白そうな本があったのでリンク先を覗いてみた。単独作品ではなく、アンソロジストの東雅夫氏の手になる、猫にまつわる東西の怪奇譚を集めたアンソロジー集だった。…

しゃばけ / 畠中恵

⭐️⭐️⭐️ 「つくもがみ貸します」に次いで、いよいよ長大なシリーズの起点となった「しゃばけ」を読んでみた。 江戸有数の薬種問屋の一粒種・一太郎は、めっぽう体が弱く外出もままならない。ところが目を盗んで出かけた夜に人殺しを目撃。以来、猟奇的殺人事…

星間商事株式会社社史編纂室 / 三浦しおん

⭐️⭐️⭐️ これもまたブックオフでの拾いもの。いかにも「舟を編む」の二番煎じっぽいのだが、まあちょうど軽い読み物が欲しかったところだったので買ってみた。 川田幸代29歳は社史編纂室勤務。姿が見えない幽霊部長、遅刻常習犯の本間課長、ダイナマイトボデ…

事件 / 大岡昇平

⭐️⭐️⭐️⭐️ 「本が好き!」だ開催中の東京創元社文庫創刊60周年祝企画のブックリストを見て懐かしい作品をみつけた。大岡昇平の「事件」である。大岡昇平といえば、「野火」「俘虜記」「レイテ戦記」などの太平洋戦争ものがすぐに思い浮かぶが、この「事件」…

鎌倉散策

初の鎌倉散策。 江ノ電初乗り。 鎌倉文学館。旧前田侯爵邸で三島由紀夫の「豊穣の海」第一作「春の海」に出てくる終南別業のモデルとなったところ。その豊穣の海展が催されていた。「天人五衰」の最終稿にはジンと来た。 バラ園も見頃で、庭ではクラシックの…

飛ぶ孔雀 / 山尾悠子

⭐️⭐️⭐️⭐️ 追いかけてきた山尾悠子の最新刊に辿り着いた。昨年発刊され、第69回芸術選奨文部科学大臣賞、第39回日本SF大賞受賞、第46回泉鏡花文学賞の「三冠」を達成した「飛ぶ孔雀」。大化けしたとか世評は高い。 伝説の幻想作家、8年ぶりとなる連作長編小説…

歪み真珠 / 山尾悠子

⭐️⭐️⭐️⭐️ ずるずるとはまって、またまた山尾悠子。短編集の「歪み真珠」を読んでみた。諏訪哲史さんのこれまた衒学的で難解な解説によると、初期作品集「夢の遠近法」と「ラピスラズリ 」以降の作品群をつなぐきわめて重要なミッシング・リンク、言い換えれ…

山尾悠子作品集成 / 山尾悠子

⭐️⭐️⭐️⭐️ 「増補・夢の遠近法」に収録されていた「パラス・アテネ」の続編(破壊王シリーズ)を読みたくて、図書館から借りだしてきた。分厚い、重い! 山尾悠子作品集成 国書刊行会から2000年に発行されている。嬉しいことに栞に佐藤亜紀が「異邦の鳥」とい…

桐島、部活やめるってよ / 朝井リョウ

⭐️⭐️⭐️ 神木隆之介が演技派としての評価を確立し、東出昌大、橋本愛が世に出るきっかけとなった吉田大八監督の映画の原作。映画があまりにも素晴らしかったので逆に読むのをずっと躊躇っていた、朝井リョウのすばる新人賞受賞作。 田舎の県立高校。バレー部…

増補 夢の遠近法 / 山尾悠子

⭐️⭐️⭐️⭐️ 「ラピスラズリ」に引き続き、山尾悠子である。原点に戻って、初期作品群から選ばれた短編集「増補 夢の遠近法 初期作品選」を読んでみた。 作者解説によると、「ラピスラズリ」にひきつづき、ちくま文庫より声をかけていただき、よりコンパクトな…

昨日がなければ明日もない / 宮部みゆき

⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第五弾。私立探偵になって初めての「希望荘」に続き再び短編集で出版された。昨年末の単行本化なのでようやく現在まで追いついたことになる。 杉村三郎vs.“ちょっと困った”女たち。自殺未遂をし消息を絶った主婦、訳ありの…

希望荘 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第四弾。「誰かーSomebody」「名も無き毒」「ペテロの葬列」長編三部作において、巨大コンツェルンの入り婿という「ドールハウス(解説杉江松恋氏の表現)」から、何故か事件に巻き込まれる運の悪い一市井人杉村三郎が…

楽園 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️⭐️ 大作「模倣犯」はあまりにも登場人物が多く、一人一人取り上げていくとレビューが煩雑になるため、敢えて言及しなかったキャストも多かった。その一人に、前畑滋子というフリーライターがいた。事件を追いかけるルポライターとなり、主犯のピースこ…

ペテロの葬列 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第三弾にして文庫本上下巻に渡る大作。「ペテロの葬列」という題名のうち、ペテロはレンブラントの名画「聖ペテロの否認」に描かれたイエスを裏切った弟子ペテロである。葬列とは被害者が加害者になり連綿と続く悪の連鎖…

名も無き毒 / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 続いて杉村三郎シリーズ第二弾。杉村三郎と彼を取り巻く人々、環境が「誰かーSomebody」で提示されているので、二作目はすっと作品世界に入っていける。 『今多コンツェルン広報室に雇われたアルバイトの原田いずみは、質の悪いトラブルメーカーだっ…

誰か-Somebody / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 宮部みゆきの杉村三郎シリーズ第一作。2003年の作品なので、2001年の「模倣犯」とそう離れていない時期である。「理由」「模倣犯」で心身共に疲弊した宮部が再び社会派ミステリーに挑んだわけだが、さすがに「模倣犯」ほどの重さはなく、主人公を刑事…

ソロモンの偽証 / 宮部みゆき

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐️ 宮部みゆきが心血を注ぎ完成させた傑作「ソロモンの偽証」。1990年のクリスマスイブから1991年8月20日までのわずか8カ月間の物語であるが、それを宮部は小説新潮に2002年から2011年まであしかけ9年をかけて連載し完結させた。その量たるや、原稿…

模倣犯 / 宮部みゆき

⭐︎⭐︎⭐︎⭐️ 宮部みゆきの本領、社会派ミステリーの傑作「理由」に続く超大作「模倣犯」である。読んでもいないし、映画も見ていないがそんな私でも大体どうい内容かは知っているほどの有名作品。こういうタイプの犯人は怖気が振るうほど大嫌いなので読んでいな…

ネクロポリス / 恩田陸

⭐️⭐️ 投げっぱなしジャーマンとの評価も高い(?)恩田陸さん。今回は投げっぱではなかったものの、例によって例の如く上巻上々、下巻はひどい。前半星四つ、後半一つで平均2.5と言いたいところだが、結末があまりにもひどいので星二つ。 この作品、興行プロ…

ICO イコ霧の城 / 宮部みゆき

⭐️⭐️ クローゼットから発掘した宮部みゆきの二冊目は「ICO」。RPGで有名なICOのノベライズである。うちの子がやっていたのは時々見ていたが、寒色系で繊細なグラフィックの印象的な作品だった、と記憶している。宮部みゆきもこのICOの大ファンで、SCEの制作…

理由 / 宮部みゆき

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ どこかに書いたことがあるが、宮部みゆきが「怪物」的な悪を描くようになった時期と自身の阪神淡路大震災による心的疲労の時期が重なり、時代物以外の彼女の作品を読むことをやめてしまった。 しかしその後も彼女は「理由」で直木賞を獲ったのを始…

ドリームバスター / 宮部みゆき

⭐️⭐️⭐️ 久々の宮部みゆき。独り立ちした子供のクローゼットを整理していて二冊見つけ、せっかくなのでブックオフに売る前に読んでみることにした。一冊目は「ドリームバスター」。表紙絵からしてなにかジュブナイルもの、あるいは宮部が好きなRPG的な匂いが…

命売ります / 三島由紀夫

⭐️⭐️⭐️ 三島由紀夫の小説の主だったものは大体読んでいるが、未読のものも多く、時々読み足したくなる。今回は、これまたブックオフで目についた「命売ります」を読むことにした。 下記のAMAZON解説を読むと何やらすごい小説のように思えるが、実質は十台で…

NHK「100分de名著」ブックス 夏目漱石 こころ / 姜尚中

⭐︎⭐︎⭐︎ この頃どういうわけか、「本が好き!」に漱石の「こころ」のレビューが多いのでついつい読んでしまう。マーブルさんもそのお一人だが、そのつながりでエドガー・アラン・ポーの短編集のレビューの中で 「こころ」を読むと「ウィリアム・ウィルソン」…

劫尽童女 / 恩田陸

⭐︎⭐︎⭐︎ 汲めども尽きぬ恩田陸の未読作品。今回は彼女お得意の超能力系ミステリー。題名は「こうじんどうじょ」と読む。「劫尽」の説明は物語中盤を過ぎた頃に起こる大厄災を象徴する言葉として出てくる。「こうじんか、劫尽火」、悪いことをすると地獄の劫火…

神去なあなあ日常 / 三浦しをん

⭐️⭐️⭐️ これもブックオフで見かけて思わず手が伸びた。三浦しをんの「神去なあなあ日常」である。映画を観たかったが見逃していたので読んでみることにした。 『高校卒業と同時に三重県の山村に放り込まれた平野勇気19歳。林業の現場に生きる人々の1年間のド…