Count No Count

備忘録、採点表

小野市ひまわりの丘公園

小野市ひまわりの丘公園

静かな大地 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ コスモポリタン池澤夏樹がついに自分の故郷「静かな大地 アイヌモシリ」北海道と自らのルーツを壮大に描き上げた傑作。和人に迫害され続けるアイヌ人たちとその側に立った淡路からの入植者宗形三郎志郎兄弟の苦闘の生涯と苛烈な運命を、志郎の娘…

祈りの海 / グレッグ・イーガン、山岸真訳

⭐︎⭐︎⭐︎ 現代ハードSFの代表的作家、グレッグ・イーガンの初期の短編集。日本独自の選択のため、扱うテーマや難解さの程度は様々で、得意の物理的分野より病院での仕事経験の方を感じさせる作品もある。しかしクオリティが一定していてイーガン・イズムがブレ…

Fireworks of a Summer Night

a collage made by rehab ward patients.

からくりからくさ / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 「りかさん」の続編にして、梨木香歩文学の一つの到達点ともいえる壮大な作品。蓉子の祖母が他界し、りかさんも喪に服する。蓉子は祖母の家で友人女性三人と暮らすことになる。その家の結界、四人の女性それぞれの結界と繋がり、そして植物、動物の…

りかさん / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎ 梨木香歩流の人形のお話し。りかさんはリカちゃん人形ではなく、日本古来からの「形代(かたしろ)」としての漆黒の髪の市松人形である。「アビゲイルの巻」も良かった。併録の「ミゲルの庭」は「からくりからくさ」と関係してくるのだが、男の私には…

Clouds glitter gold at sunset

ポーの一族 春の夢 / 萩尾望都

⭐︎⭐︎⭐︎ 萩尾望都先生、40年ぶりの「ポーの一族」の新刊。昨年から月刊Flowersに連載された新エピソードが完結した。ご自身が述べられているように絵も顔も変わったが、とにもかくにも新しい物語が読めるのは嬉しい限りだ。

冬虫夏草 / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 梨木香歩の「家守綺譚」の続編。前作ほどの新鮮な驚きはないが、新米文士綿貫君の鈴鹿行を描く梨木さんの瑞々しく美しい文章にはやはり惹かれるものがある。ハードカバーの装丁が美しいのも魅力である。

シャーロック・ホームズ対伊藤博文 / 松岡圭祐

⭐︎⭐︎⭐︎ ラノベの職人松岡圭祐の講談社文庫への単行本書下ろし。ホームズがモリアーティ教授と滝壺に落ちたころ、日本では大津事件が起こっていたという着眼点が面白い。一方伊藤博文が渡英していたころホームズは10歳くらいだったというところを利用したのも…

村田エフェンディ滞土録 / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 梨木香歩の「家守綺譚」の兄弟作品。文士綿貫征四郎の友人村田エフェンディ(先生)が主人公、舞台は土耳古、英国人女性の下宿で起こる色々な騒動と下宿人たちとの交流。そして最後にやってくる痛切な哀しみに胸打たれる物語。

音楽と私 / 原田知世 (通常盤CD)

⭐︎⭐︎⭐︎ 私の大好きな原田知世さんのベスト盤。選曲や知世さんの歌唱には文句なし。ただ、この頃はもう最近ずっとこの人だな。ボサノバ・ギタリストの伊藤ゴローさん。彼がやっぱり全面的にアレンジしてる。「時をかける少女」はちょっと大仰なアレンジで、「…

ディアスポラ / グレッグ・イーガン

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ハードSFの旗手グレッグ・イーガンの代表作の一つ、文学としてのSFを終わらせるような「史上最も難解なSF」(1997年当時)。宇宙における人類の存在意義や宇宙自体の意味を問うた小説は数あれど、ここまでの理論的高みに達した作品はまずないだろう…

春になったら苺を摘みに / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎ 梨木香歩さんの下宿の女主人ウェスト夫人の思い出に心打たれるエッセイ集。まるで「西の魔女」の英国での生活を読むような心持がする。表紙の素敵な写真は星野道夫氏の手になるもの。

家守綺譚 / 梨木香歩

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 琵琶湖疎水に近い旧家を預かることになった綿貫征四郎なる駆け出し小説家の書く物語なのだが、サルスベリに懸想されるわ、掛け軸からこの家の息子で同級生で琵琶湖に沈んだはずの高堂がしょっちゅう出てきて平然と話をするわ、河童は出るわ人魚は…

アノニム / 原田マハ

⭐︎⭐︎ 原田マハ版ミッション・インポッシブル、アメリカ現代アートだからハリウッド的ポップさでいいのかもしれないが、ジャクソン・ポロックへの入れ込みように比べれば軽い軽い

すばらしい新世界 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 風力発電機をチベットの秘境に設置に行く企業人と現地の人や自然や宗教との触れ合いが清々しさを感じさせるとともに、オルダス・ハクスリーの同名ディスユートピア小説に挑戦するかのように、20世紀末の彼の持てる全ての世界観を平易な物語の中に…

黒書院の六兵衛(上)(下)

⭐︎⭐︎ 浅田次郎の幕末ものという事で期待して読んだが、とんでもない期待外れ。上巻退屈、下巻で種明かしなしに唖然。何だこりゃ、といいたい。

骨は珊瑚、眼は真珠 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎ 「南の島のティオ」「マシアス・ギリの失脚」の後に出版された、池澤夏樹が新たなる方向性を探っているような印象の習作的・実験的な短編集。表題はシェイクスピアの「テンペスト」の「エアリアルの歌」からとられている。

タマリンドの木 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 池澤夏樹が初めて東南アジアを主舞台に据えた、これまた初めての長編恋愛小説。誠実過ぎるほどの大人同士の恋は、東南アジアの複雑な政治情勢との対峙を迫られる。池澤夏樹の暖かい視線と優れた自然描写が光る作品。

天子蒙塵 第二巻 / 浅田次郎

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 浅田次郎の「龍玉」シリーズ五作目も第二巻。いよいよ満州立国を柱に物語は大きく動き始め、舞台も満州・北京・東京と多彩に展開され、「マンチュリアン・リポート」の主要人物も顔を見せた。これでなくっちゃ、と思わせてくれる浅田節ついに復活!

村上春樹は、むずかしい / 加藤典洋

⭐︎⭐︎⭐︎ 硬軟双方持ち合わせる文学評論家加藤典洋が、村上春樹のデビューから2015年執筆時点までの内的変化と小説の変容について分析している。リアルタイムで知っているものからすると突っ込みどころは結構あるが、自分なりの春樹観を持って読む限り良書では…

天子蒙塵 第一巻 / 浅田次郎

⭐︎⭐︎⭐︎ 浅田次郎久々の「龍玉」シリーズ、第五作目。まずは「蒼穹の昴」「中原の虹」の懐かしの主要メンバー顔見世で、ラストエンペラー溥儀と側室の世紀の離婚劇が描かれる。

マリコ/マリキータ / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎ 池澤夏樹の五編からなる短編集。表題作はグアム島が舞台で個人的な思い出とリンクして楽しかったが、真の傑作は最後の「帰ってきた男」。短編ハードSFとしてかなりいい線いってると思う。

Lion Loose / James Schmitz

⭐︎⭐︎ 日本ではあまり知られていないアメリカのSF作家の二流スペースオペラ。恐怖の異生物Hlatはなかなか魅力的ではあるのだが、全体的な構成に難あり。

バビロンに行きて歌え / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 池澤夏樹シリーズ、ようやく日本を舞台としたストーリーのしっかりした作品が登場。アラブ人青年兵士が逃亡者として現在のバビロン東京に放り出される。日本語も知らず、パスポートもなく彼は生き延びることができるのか?オムニバス形式で描く大…

真昼のプリニウス / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎ つづいてまたまた池澤夏樹シリーズ。敢えて物語性を排除し理系脳と詩人脳の間での言語の揺らぎ実験をしたような作品。火山学者がプリニウスの向こうを張って、易者の預言に反発して「何かが起こる」その時に浅間山に登るが。。。 「プリニウスさん、…

ヤー・チャイカ / 池澤夏樹

🌟🌟🌟 中公文庫版の「スティル・ライフ」に同時収録されている芥川賞受賞後第一作、ファンタジー性と冷戦当時の世界のある断面を表現した二面性が興味深い小品。そして娘のカンナと庭の草原で飼う草食恐竜「ディプロドクス」の最後の別れが切ない。ちなみに「ヤー…

スティル・ライフ / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎ 池澤夏樹の芥川賞受賞作だが、彼のキャリアからすると、らしくない作品。詩人的表現に見るべきものがある程度。

猛スピードで母は / 長嶋有

⭐︎⭐︎⭐︎ 長嶋有の初期作品で映画化された「サイドカーに犬」、芥川賞を受賞した「猛スピードで母は」の二篇が収録されている。前者は父の愛人が、後者は母が、ちょっと変わっていて、それを子供視点で描いている。嫌味が無く読んでいて爽快感があり、テンポが…

メッセージ / Arrival

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ テッド・チャンの傑作SF「あなたの人生の物語」の実写化は絶対無理だと思っていた。これは奇跡的だ。 #メッセージ #あなたの人生の物語 #ドゥニヴィルヌーヴ #テッドチャン #sf #映画 #奇跡的 #実写化 #arrival #storyofyourlife #denisvilleneuve …

ちょっと今から仕事やめてくる

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 題名やトレイラーから予想していたよりずっと真摯でよくできた映画だった。さすが成島出。福士蒼汰や工藤阿須賀、黒木華の演技もよかった。特に福士君は一皮むけていい役者になった気がする。北川恵海の原作も読みたくなった。 eiga.com

Voices in the Night / Steven Millhauser

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 短編の名手スティーブン・ミルハウザーの16の短編集。出来不出来はあるものの、「Phantoms」、「Mermaid Fever」、「A Report on Our Recent Troubles」などはミルハウザーらしさが出ていて素晴らしい。そして最後の表題作でのユダヤ人としての自身…

美女と野獣

⭐︎⭐︎⭐︎ ゴージャス。前半退屈、後半やっと盛り上がる。エマ・ワトソンがちょっと首を傾げて口角を上げて喋るところが変わってなくて微笑ましかった。

ビアンカ・オーバースタディ / 筒井康隆

⭐︎⭐︎ 筒井康隆先生がラノベに挑戦したら、自ら「時をかける少女」をパロディにしちゃってしかも超お下劣な小説になってしまった。 でも、ハイブリッドカエル対巨大カマキリの戦闘は捧腹絶倒!

Chopin: 51 Mazurkas / Irina Mejoueva

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ショパンの名手、イリーナ・メジューエワによるショパンのマズルカ全集。格調高い演奏を若林工房の好録音で楽しめる。Music Arenaに詳細な解説あり。

ミーナの行進 / 小川洋子

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 阪神大震災で損なわれる以前、1972年を芦屋の伯父の大邸宅で過ごす少女と従妹ミーナとコビトカバのポチ子の物語。懐かしさと切なさと喪失と、そこからの成長の物語。岡山出身で芦屋に暮らされているだけあり、小川洋子の作品の中でも出色の出来。

官能小説家 / 高橋源一郎

⭐︎⭐︎⭐︎ ポストモダン作家高橋源一郎と才能のなかった小説家半井桃水の自己卑下の泥沼の中で育った蓮の台の上に咲いた美しい華樋口一葉(夏子)の物語と、、、ついでにAV男優森鴎外が夏子とヤリまくるゲスの極み的なフランス書院的お話。よく朝日新聞が掲載し…

4321 / Paul Auster

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ポール・オースターの新作にて70歳間近とは思えない渾身の大作、等身大の主人公の有り得た四つの人生をアメリカ現代史を背景に並行して描く。最後には恒例の大どんでん返し、相変わらず喰えない人だった。

Turn Up The Quiet / Diana Krall

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ ダイアナ・クラール待望のジャズ・スタンダードの新譜。やっぱりダイアナはスタンダードが似合う。アレンジも凝り過ぎず派手過ぎず、好い雰囲気で彼女本来の魅力を引き出している。彼女と共同プロデュースの故トミー・リピューマに合掌。

君のそばで会おう / 銀色夏生

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 銀色夏生さんの、いつもわたしを励ましてくれる詩集。君のそばで、はBy your side=君の味方、という意思が込められていると思う。

南の島のティオ / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 南洋の、広い海の中の、静かな明るい島。きれいな海と椰子の木とのんきな人たち。それに親切な男の子ティオ。あなたもきっと行ってみたくなる、精霊の宿る環礁の島の不思議な物語。

3月のライオン 後編

⭐︎⭐︎⭐︎ 二階堂の出番が少ない分、前編より暗めだがなかなか良かった。 eiga.com

私だったらこう考える / 銀色夏生

⭐︎⭐︎⭐︎ 銀色夏生さんがどんな人か知りたくて読んでみた。常識をわきまえて生きている方でよかった。人に自分の意見や頼みを一方的に押し付ける人、鈍感で頭の悪い人は嫌い、というのは全く同感。言葉はそれだけ取り出して見ても無駄だ、というのもわかる。

池澤夏樹 詩集成

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 池澤夏樹の原点である詩集。「塩の道」には本人曰くの「若気の至りの稚拙さ」はあるが、父母のマチネ・ポエティクの影響、のちの彼の小説群の萌芽が見られて興味深い。

マシアス・ギリの失脚 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 池澤夏樹の作品の中でも最良の一冊だろう。自然、政治、歴史観、霊性、性、超常現象を全て等価に語り尽くす。マシアスを失脚させるのが、平易な言葉であったことが重い。

Ghost In The Shell

⭐︎⭐︎⭐︎ 士郎正宗のコミックを押井守監督が映画化したSFアニメの傑作「GHOST IN THE SHELL 攻殻機動隊」のハリウッド実写映画化。まあまあ良くできているけどちょっと違うような。 #スカヨハ攻殻 eiga.com

ドミノ / 恩田陸

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 恩田陸流スラップスティック喜劇。こんなライトで楽しい小説も書けるのかと感心。8000ccのバイクとホラー監督のペットが秀逸。

双頭の船 / 池澤夏樹

⭐︎⭐︎⭐︎ 東日本大震災の鎮魂、そして再生の願いを込めて池澤夏樹が書いた幻想的小説。非現実と現実が混在していて、やや軽い感は否めない。

永い言い訳

⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎⭐︎ 西川美和原作小説の自らの映画化。やっぱり西川美和は映画だ、と思い知らされる傑作。本木雅弘、竹原ピストルの演出はもちろん子役のキャスティングと演出が完璧。アリアになってないが手嶌葵のオンブラマイフも染みる。 http://eiga.com/movie/8…