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続 ゆうけいの月夜のラプソディ 的な

ホワイトラビット / 伊坂幸太郎

⭐️⭐️⭐️⭐️

伊坂幸太郎最新作は、クロスカッティング手法を用いた映画的な展開とトリックが面白い。高台の家での人質立てこもり事件に「オリオン座」と「レ・ミゼラブル」を絡める語り口はやっぱ伊坂流。あの男も健在だ!

しあわせの理由 / グレッグ・イーガン、山岸真編・訳

⭐️⭐️⭐️⭐️

グレッグ・イーガンの日本オリジナル短編集「祈りの海」に続く短編集。二冊目でも全くクオリティの落ちないイーガンの凄さ!SFとしては易しく哲学的に深い作品が多いので、SFファンでなくても十分楽しめる。象徴主義の画家クノップフの「愛撫」を題材とした「愛撫」、「祈りの海」の「ぼくになることを」とつながりがあり、更にそれを壮大なスケールで描いた「ボーダー・ガード」が特に優れている。唯一、医学用語に誤謬が多いのが残念。

ロミオとロミオは永遠に / 恩田陸

⭐️⭐️⭐️

恩田陸早川書房のJシリーズに書いた近未来ディストピアSF。そのハチャメチャ振りは、本人が「書いた時はハッピーエンドだと思ったけど文庫版出版の際に読み返してみて暗いので書いた自分がびっくりしている!」というくらいぶっ飛んでいる。なお、題名の意味もいまだに本人が分からないそうだ。なお、昭和へのオマージュになっており、巻末の20世紀サブカルチャー用語大辞典は面白い。

原田知世35周年記念アニバーサリー・ツアー"音楽と私" in 山形 2017

⭐️⭐️⭐️⭐️⭐️

やっぱり原田知世様は最高。バックもこれだけの人たちが来てくれるのはすごい。「ときめきのアクシデント」は予想以上に良かった。「くちなしの丘」は最初アコギで弾き語り、上手くなったね!会場もギネス認定の完全木造世界最大ホールで響きが柔らかく音が良かった。

 

2017.9.23  15:30-17:30

山形県南陽市シェルターなんようホール

 

原田知世 vo,g

 

伊藤ゴロー  bandmaster, guitars

坪口昌恭  kbds

鳥越啓介 ac & el bass

みどりん  ds

伊藤 彩  vn, cho

 

秘密のセットリスト

第1部

1. 時をかける少女  (音楽と私バージョン)

2. Don't Know Why (Nora Jones)

3. 夢の人 (The Beatles)

4. うたかたの恋

5. ロマンス

6. 愛のロケット

第2部

7. ときめきのアクシデント

8. 天国に一番近い島

9. ダンデライオン

10. 地下鉄のザジ

11.  年下の女の子 (キャンディーズ)

12. くちなしの丘

EC-1

13.  Double Rainbow

14. セプテンバー (竹内まりや)

EC-2

15. 時をかける少女 (Music & Meバージョン)

 

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美しの神の伝え / 萩尾望都

⭐️⭐️⭐️

    これも「ピアリス」と同じく、萩尾望都SF原画展を契機に発売された新刊。全くの新作ではなく以前からある「音楽の在りて」という短編小説集13作品に「クリシュナの季節」「左手のパズル」とショート漫画「いたずら らくがき」の三作を追加したもの。追加掲載の二作もいい。「クリシュナの季節」は詩的で、少し「トーマの心臓」等のリセものの香りが、「左手のパズル」は幻想的で後半少し「ポーの一族」の香りがする。

刺繍する少女 / 小川洋子

⭐️⭐️

    小川洋子1996年の短編集。十作収められているが、はっきり言って小川洋子としてはそれほどレベルは高くない。ただ、何かを喪失していく人々の、彼女らしいディテイルの書き込みはやはり奇妙で残酷で不条理で美しい。「森の奥で燃えるもの」が一番良かった。

私は幸せ / 柴田淳

⭐️⭐️⭐️

  柴田淳の新作、オリジナルとしては「バビルサの牙」以来3年ぶり、11枚目となる。シバジュンらしい金太郎飴状態は相変わらずだが、その分安心して聴ける。久しぶりの王子様シリーズ第4弾が入っているのもご愛敬。

ダンケルク

⭐️⭐️⭐️⭐️

  クリストファー・ノーラン監督の新作。第二次大戦中の民間船まで動員したダンケルク脱出作戦をコンパクトに多視点のモンタージュ技法で描いた、見事な演出が光る佳作。映像も見事。ポール・ギャリコの「スノー・グース」でラヤダー老人が向かったダンケルクがどんなところか良く分かった。

 

eiga.com

 

  

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魔王 / 伊坂幸太郎

⭐️⭐️⭐️⭐️

大義なき衆議院解散総選挙が噂される今読んでみるのもいいかもしれない、非政治的人間伊坂の政治的作品。ファシストはまずは正論を吐く。国民は魔王がやってきたのに気づかない。

寡黙な死骸 みだらな弔い / 小川洋子

⭐️⭐️⭐️⭐️

11の短編が絡まり合いもつれながら織りなす残酷で淫らで静かで美しい弔いの物語。之もまた紛れもない小川洋子の世界である。